学校生活
課外教室『南イタリアの世界遺産を巡る旅』が始まりました。ヨーロッパ方面を訪れる課外教室は4年ぶりとなります。コロナ禍で海外への渡航ができなかったこともあり、今回は39名という過去最大数の参加者です。旅の様子をお届けします。
◆【出発~第1日目】3月25日
3月25日(土)午前7時に成田空港に集合した一行はトルコ国際航空にてまずは経由地イスタンブールに向かいました。飛行時間は約12時間40分です。トランジット約4時間を経て、目的地のイタリアはローマ、フィウミチーノ空港に到着したのは現地時間の22時でした。東京から約19時間かけてのローマ入りでしたので、付添はもとより、生徒も流石に疲れていたようです。そしてイタリアの労働状況の影響でしょうか、預け入りた荷物が中々出てこないことで、空港の出発が予定より大分遅れてしまいました。ということで、現地時間の日付けが変わった0時過ぎにローマ市内のホテルに到着しました。私たちにとって長い長い移動日第一日目はこうして終えたのでした。
◆【第2日目】3月26日
第2日目です。日付が変わった午前2時にサマータイムに切り替わりました。午前1時過ぎ以降に就寝した私たちにとって、時刻が1時間早まってしまうことは、睡眠時間を減らされてしまうので、決して嬉しくはありません。但し日本では絶対に経験することができない1時59分から3時に飛ぶ瞬間を多くの生徒が共有できたことは貴重だったと思います。
さて本日はこの旅でのメインの一箇所であるポンペイの遺跡を訪れます。8時半にホテルを出発し、高速道路でポンペイまで245kmの道のりをバスで約3時間かけて高速道路を走ります。午後12時には予定通り到着しました。現地ではイタリア人ガイドさんによる日本語で遺跡観光をしました。強い陽射しのもと、心地よい風が吹く中、世界でも名だたる遺産の遺跡を堪能することができました。
その後はレストランにてご当地発祥のピザマルゲリータを中心とした昼食を食べました。1人あたりピザ一枚やカプレーゼサラダなど、量がやたら多い食事でしたが、生徒はペロリと食べていました。食事中にはギター弾き語りでカンツォーネ歌いが来るなど、イタリアらしい一場面もありました。
遺跡観光後、ナポリ市内をバスの車窓から観光しました。ナポリ名物の信じられない渋滞と市民のこれまた超絶技巧的な強引な運転を目の当たりにすることができました。
ナポリ港に吹く肌寒い海風に当たりながら、その背後に聳える優美なベスビオス山の姿をもう一度目に焼き付けて、第2日目の行程を終わらせました。
ポンペイ遺跡の全員写真
1人前のピザマルゲリータ
ナポリ港からベスビオス山を臨む
◆【第3日目】3月27日
天気予報が悪い方に当たり、昨日の快晴からは打って変わって朝から時折雨が混じる曇り空でした。実は昨日のうちに強風のため本日のナポリからカプリ島への船は全便欠航が決まっていました。ですから参加者全員が楽しみにしていた青の洞窟へのツアーは残念ながら中止です。一行は急遽予定を変えてソレントに行くことにしました。
ソレントは生徒が中学の音楽の時間に歌った『帰れソレント』が作曲された場所としても有名です。ナポリからの海岸線道路の下には紺碧の海が広がっています。しかし強い風が吹き、海は白波が立つほど荒れていて、カプリ島までの航路が断たれたのは見て明らかでした。
現地には11時過ぎに到着。昼食までの小一時間を自由時間とし、各々がソレントの街中を買い物などをしながら散策しました。
昼食は街の中心地にあるバジリカというレストランです。隣はナポリの有名なテノール歌手であるエンリコ・カルーソーが常宿にしていたヴィットリアがあります。ラザニア料理やスズキのムニエルなどコース料理をいただきました。
その後は世界遺産指定のアマルフィ海岸に、大型バスからベンツのワゴン5台に6人から13人に乗り分けます。世界遺産指定の道路、アマルフィ海岸を直走りアマルフィの街に向かいました。この道路は南に向かうと右側が断崖絶壁で、狭い道路かつきついカーブが連続します。アマルフィの街に到着したときは、数名の生徒が車酔いでかなりバテていたことを一応ご報告します。
アマルフィでは大聖堂の見学がメインでした。ヨーロッパのあらゆる建築様式か混在している教会は優美な外観と荘厳かつ厳粛な内観を併せ持ち、生徒たちは皆熱心に見学していました。
見学後は少しの間フリータイムとしたところ、生徒たちはジェラートを食べるなどしながら街の雰囲気に浸っていました。
アマルフィを後にし、本日の宿泊場所のサレルノのホテルに行き、第3日目を無事終えました。
アマルフィ海岸線
ソレントの街にて
ソレント岬
昼食レストラン
プリモ ラザニアカネロニ
セコンド スズキのムニエル
デザート ご当地名産のレモン仕様のケーキ
アマルフィ海岸を臨む
アマルフィ大聖堂
大聖堂内部
大聖堂内部
ジェラート
◆【第4日目】3月28日
早くも旅の行程は後半に入ります。昨夜は天気が急変し大雨が降り、風も強まりサレルノは大荒れとなりました。しかし世が明けると青空が広がっていたので、一安心しました。ところが気温が7℃まで下がりかなり寒い朝となっています。
ホテルを9時前に出発し、一路アルベロベッロに向かいます。距離は300キロメートルで現地到着は13時という長丁場になります。空は晴れ渡っていますが、高速道路の路肩には雪が降り積もっているなど、昨夜のこの地方はかなり冷え込んだようです。
イタリア半島をアドリア海に向かって横断する道沿いには、日本ではあまり見ることがないオリーブ畑が続いています。イタリアの強い陽射しに照らされ、緑色が綺麗に映えていました。
アルベロベッロは『美しい樹』を意味すると言われています。この地区には『トゥルッリ』という白壁に円錐形の石積み屋根を載せた家屋が約1500軒あり、これらの家屋は1996年に世界遺産に登録されています。
宿泊ホテルに到着し、荷物を置いた後、中心部までは徒歩で向かいました。気温は7℃。強い北風が吹く厳寒の世界でした。一同は寒さに堪えながら世界遺産の美しい景観を見学し、一時の自由行動と共に楽しみました。
翌日早朝、陸上部員がトレーニングを希望したので、少しだけ中心部で走ったことを付け加えておきます。
オリーブ畑とアドリア海
トゥルッリを改装した昼食レストラン
昼食レストランにて
オレキエッテ
トゥルッリ見学
夕食レストランにて
メッツァマニケ
豚肉料理
日没後の中心部
明け方の中心部
犬に愛されてしまったI君
陸上部早朝トレーニング
◆【第5日目】3月29日
今日はマテーラに向かいます。最低気温は3℃ですが、昨日までの風は治まり陽差しが暖かいです。
マテーラはアルベロベッロから1時間半ほどかかります。ここは旧市街地区に洞窟住居(サッシ)があることで有名です。1993年に世界遺産に登録されています。またイエス・キリストの受難と磔刑を描いた映画『パッション』のロケ地になったことでも有名です。
イタリアの学校はイースター前休暇中です。彼らはこの時期を利用して修学旅行中でした。マテーラも含めて行く先々の観光地で彼らに出会います。生徒たちは同年代と思われる彼らと積極的にコミュニケーションをとっていました。日本人がイタリア語で声をかけるとあちらからも何かしらのアクションがあり、生徒たちはとても嬉しそうでした。そんな姿は実に微笑ましかったです。
マテーラ独特の景色を堪能し、昼食後には一路ローマに向かいました。休憩を含めて約6時間、走行距離300km強という長い移動でしたが、予定通り20時にホテルに到着し、この日の行程を無事に終えました。
マテーラの街にて
マテーラの街にて
パッションのロケ地となった丘
パッションのロケ地となった丘
サッシの内部見学
◆【第6日目】3月30日
早くも帰宅の途につく日となりました。本日はこの旅で一番のタイトなスケジュールをこなさねばならない日です。
6時半に朝食、7時45分にはホテルを出発しバスでスペイン階段上まで行き、その後は徒歩で市内を歩きサンピエトロ寺院までいきます。
スペイン階段では何かの撮影中で閉鎖されていました。ですので一行は階段を下りることができません。しかしスペイン広場まで行って階段を見上げると、いつもは大勢の観光客が座り込んでいるのに、全く人がいません。こんな光景は滅多にみることができないことをラッキーと思いながら、市内観光が始まりました。
ここで昨年の6月に体験入学をした、卒業生のご子息のマルティーナさんが参加していた3年生に会いにきてくれました。そこで3年生だけが、一時別行動をして彼女と市内散策をしました。通っている学校の見学などを交え良い経験となりました。
さて本隊はスペイン広場から石畳の小道を歩いて、トレヴィの泉に向かいました。トレヴィの泉で20分のフリータイムを取り、生徒は泉にコインを投げたりジェラートを食べたり、思い思いに楽しみました。その後、フォリ・インペリア通りを歩きながらコロッセオに向かいました。この大通りは、周りが古代ローマ時代の遺跡フォロ・ロマーノ囲まれており、両脇には歴代皇帝の像が点在し、正面にコロッセオが大きくそびえ、歩くだけで古代ローマを感じることができます。生徒たちは感嘆の声を漏らしながら、その壮大さに浸って歩いていました。コロッセオで写真タイム等をとり、その後はバスでサン・ピエトロ遺跡まで移動しました。
サン・ピエトロ広場で解散し、1時間ほどの昼食を含めてのフリータイムとしました。生徒はグループに分かれてお店を選び昼食をとりました。ここまでの行程の中でさまざまなパスタが出てきましたが、ロングパスタがメニューになく、生徒たちからもリクエストが相次いでありました。この日の昼食で多くの生徒がそれを注文したのは言うまでもありません。
午後はサンピエトロ寺院の見学です。いつもならセキュリティーチェックの長い列ができているところですが、割と早く通過することができ、予定より少し早くの入館ができました。とてつもなく大きな寺院に圧倒されながら、ピエタ等多くの美術品、絵画を堪能できました。
この行程で最後となったのはヴァチカン美術館です。運悪く午前中に式典のリハーサルがあった都合で美術館等が閉館していた影響で午後に観光客が集中しました。私たちの一行が入館した時がそのピークで美術館内は日本の満員電車さながらで、大変なことになっていました。平時は混雑していても、それなりにゆっくり鑑賞できるのですが、歩き進むのが精一杯。システィーナ礼拝堂の最後の審判ですら、後ろを振り向きながらの鑑賞しかできず残念でした。
トレヴィの泉でコインを投げ入れておりますので、生徒は必ず?またこの地を訪れるでしょう。そう言い聞かせながら美術館鑑賞を終えました。
その後はバスに乗り、ローマ フィウミチーノ空港に行き帰国の途につきました。
今回の旅行はタイトなスケジュールとなりましたが、なるべく生徒には南イタリアの良さを知ってもらおうと努力をしたと思っております。この先イタリアに興味をもち、何かしら勉学に役立ててくれれば、この企画をした者にとっては幸いです。
最後に、毎日体調を崩すことなく7日間笑顔でイタリア生活を過ごしてくれた生徒に感謝をして、この旅行記を終わらせていただきます。
人がいないスペイン階段
別隊 マルティーナさんの学校にて
本隊 トレヴィの泉
サンピエトロ寺院内部にて
羽田空港到着
羽田空港到着