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  • 2016.10.07

    言葉の筋トレ10 こんにちは 你好 안녕하세요 สวัสดีค่ะ नमस्ते Merhaba السلام عليكم Здравствуйте Buon giorno Guten tag  Jambo Buenas tardes

    言葉の筋トレ 石井弘之

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第10回

こんにちは  你好(中国語 ニイハオ)  안녕하세요(韓国語 アンニョンハセヨ)  
สวัสดีค่ะ(タイ語 サワディカー)  नमस्ते(ヒンディー語 ナマステ)
Merhaba(トルコ語 メルハバ)  السلام عليكم(アラビア語 アッサラームアライクム)
Здравствуйте(ロシア語 ズドラーストビーチェ)
Buon giorno(イタリア語 ブオンジョルノ)  Guten tag(ドイツ語 グーテンターク)
Jambo(スワヒリ語 ジャンボ)  Buenas tardes(スペイン語 ブエナスタルデス)

挨拶が苦手だ。

(1) 二十代のころ当時の校長に「どうして君は私に挨拶をしないのかね」と怒られたことがある。職員室に入ると、最初にすれ違った何人かには「おはようございます」と言うが、3~4人で面倒になってやめてしまう。昔も今もそんなスタイルだ。誰にはするとかしないとかではない。女子中学生が必死になって部活の先輩にペコペコしている姿は、日本の縮図を見るようで哀れになる。日本の挨拶はヒエラルキー確認の役割も果たすが、その仕組みに私はうまく乗れない。

(2)「おはようございます。あれぇ、声が小さいぞ。さあ、もう一度。おはよお・ございますっ」っていうようなスピーチを集会などでやる人がいるが、他人事でも恥ずかしくて見ていられない。そんな人間が校長をやっているのだから困ることばっかりだ。

(3) かつて住んでいた近所に私立の女子中高があったが、門を入ったところに挨拶ゾーンというのが作られていた。生徒はそこで立ち止まって「おはようございます」と頭を下げるよう指示されている。守衛さんがいるときにはまだ良いのだが、誰もいない空間にお辞儀をしている女の子を見ていると、教育とは理不尽に順応させることだと思い知る。成城学園をそんな学校にしたくない。

(4) 放課後にグランドや体育館になるべく近づかないようにしている。私に気づいた部活中の男子生徒たちが挨拶をしてくるからだ。「ちわー」「こんちわ!」・・・。一人ひとりに声を返した方が良いのか、まとめてで良いのか。そういうどうでも良いことに悩む。礼儀を重んずる部活の生徒は明らかに顧問の目を意識して大きな声を出す。こちらの機嫌の悪い時にはそんな生徒に対して「挨拶より練習!」と顧問に聞こえるように言い返す。嫌なオッサンだ。女子生徒はゲンキンなもので、自分が得をする相手ではないと見て取れば無視してくれるから楽だ。

(5) 昨年引退した豊真将のお辞儀は美しいと評判が高かったが、土俵上でガッツポーズをして文化人とやらに批判されていた朝青龍の方がよっぽど人間臭くて強くて美しいと思う。挨拶はカタチじゃない。お辞儀を観に国技館に通うわけではない。不器用な豊真将の相撲も好きだったけど。

 もちろん私だって挨拶が社会生活の基本だということぐらいは知っている。でも、挨拶は気持ち・自主性・タイミングだ。流れるように自然な挨拶がバッシッと決まった時はやっぱり気持ちが良い。上下じゃなくて対等ならさらに良い。挨拶は大事だよと教えつつ、強要しない。それが恰好いい。
 12の言語で挨拶の言葉を壁に刻んでもらった。韓国語・ロシア語・スワヒリ語は残念ながら使ったことがないが、それ以外はどれも旅行中などに口にしたことがある。文化によって挨拶の頻度や範囲が違う。アルザスでは市バスに乗車するとき、みんな運転手に「ボンジュール」って言っていた。日本じゃあまり見ないのは、運転手がヒエラルキーの外にいるからだろう。

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