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  • 2012.03.12

    学校歳時記 33 3・10、涙雨の高等学校卒業式

    学校歳時記

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卒業式朝の記念講堂

 春近しを思わせる三月であるはずが、真冬並みの寒さと、しとしと雨の中で、高等学校卒業式が行われた。めでたく卒業した諸君は今から6年前、中高一貫校となったときの中学新入生だった。一人ひとりの生徒に成城学園での思い出ができたように、学校も新たな歴史を刻んだ6年間だった。
 講堂の外で降り続いた雨に象徴されるのだろう。講堂内での卒業生の涙は、様々な出会いと別れに思いを馳せ、目頭が熱くなって、自然とこぼれるものだったと思う。4月からの新たな舞台に立つ前に、もうしばらく成城の余韻に浸るのもよいかもしれない。
 10日の卒業式のちょうど1週間前。同じ記念講堂に新中1生の保護者が集まった。中学校高等学校の新たな幕開けとなる、1年生8クラス初年度を4月に迎える、入学準備のための保護者会であった。漢字1字の植物名をクラス名にする中学校では、「皐」と「橘」という新しい名前が加わった。
 往く人、来る人。まだ幼さが残る初々しい人たちから、すでに立派な風格を備えた青年たちまで、春の待ちどおしい中学・高校の守備範囲は、案外広い。