2学期の成績が優秀だった生徒を表彰するため、3学期の始業の日に校長室に来てもらった。会議室で3学年とも同時に行おうと思っていたが、中3の進学に向けての写真撮影とバッティングしていたので、学年ごとに行った。
 次々と入れ替わっていく生徒を眺めていると何となくだが、学校全体の生徒たちと違うように見えてくる。キリッとしているのだ。顔の作りは親からの血筋というのか、遺伝子のなせる技で様々だが、顔つきには共通するものがある。生き生きとしているし、意志の力を感じさせる。
 人は見た目が九割とかいうようなタイトルの本がベストセラーになっていると聞く。まだ読んでいないので何とも言えないが確かにそうなのかもしれない。服装のことはよくわからないが、顔という点ではその場合の「見た目」というのは顔のつくりを指すのではないように思える。顔つき、表情。その生きた動きが人間の魅力になっているのではないか。表彰された生徒にはそれがある。
 成績優秀者というのは単なるガリ勉ちゃんではない。何かに興味を持って取り組んでいたり、人生に目標を持っていたり、疑問を解決することに喜びを感じていたりと、精神が前向きに動いている生徒が多い。
 それに対してつまらなそうな顔。ボンヤリした顔。機嫌の悪い顔。1日の大半をそういう顔で過ごしている生徒は勉強でも部活でも行事でも、なかなか上向いては行かない。
 中学生くらいの年齢は自意識が強まり、見た目を気にするようになるが、髪を染めることよりも、化粧をすることよりも、ずっと簡単に美しい見た目を手に入れる方法があることにはなかなか気づいてはくれない。好奇心旺盛な顔つき、意欲に満ちあふれた顔つき、ちょっと気持ちを変えてみるだけでそういう魅力的な見た目を手に入れられることも大人から子ども達へ伝えていかねばならないことのひとつなのかもしれない。
 成城学園中学校はかつて入試に面接を行っていた。高校は今でも行っている。短い時間で何が分かるのかという意見もあるが、やはり長年人を教える仕事をしていると、顔つきから色んなことを見て取れることもあるのだ。
 成績優秀者の諸君。キミたちはみごとに美しい。