竹組で国語Ⅱの授業を持っていることを書いたことがある。古典の暗唱の練習をするときなどに、しっかり声を出す良いクラスだというようなことをその時は書いた。感じの良いクラスだという印象は変わらないが、今回は竹組への文句である。
国語Ⅱは1学期、古典と文法を中心にしていたが、2学期は古典と演習だ。世の中のほとんどの中3が受験勉強をしている中で、中高一貫校の中3だけは高校受験の勉強をする必要がない。その分、中学生としての当たり前の活動をキチンとできることは良いことではあるのだが、やっぱりよそ様がどんなことに取り組んでいるのかを知っておくことも必要だ。というわけで高校入試の問題に挑戦させたりするのが「演習」の内容である。
中間テストでも入試問題的な内容を組み入れた出題がなされたが、その中のある問題で、竹組の多くの諸君がドジを踏んだのである。問題は簡単で、傍線の引かれた単語と同じ意味で使われている二字の語を抜き出せ、というものである。しかし生徒は問題をちゃんと読んでいなかった。そこには「傍線より前の本文中から」という但し書きがついている。そして傍線の直後に答えとなる別の単語が存在した。生徒たちはそれに飛びついてしまったのだ。
読解としてはで間違っていない。正しい内容をつかんでいる。なのにテストとしては×である。「前」という指示に気づかなかっただけで得点することのできなかった生徒がクラスの4分の1くらいいた。
成城学園の生徒はおおらかで、呑気な生徒が多いのは美点である。しかしお気楽にもほどがある。もうちょっと注意深くなれよ。たまたま竹組を教えているから引き合いに出したが、実はどのクラスにも同じような傾向がある。
こういう指示に気づかない勉強以前のところで成績の差はついていく。授業の時によく言うことがある。
「頭が良いとか、悪いとか言う生徒がいるけど、よほどの天才でもない限り、キミたちの能力なんてたいした差はない。勝負は勉強以前のところでついてんだぜ。例えば、授業が始まったときに教科書とノートが机の上に出ているか出ていないか。教師がページ数を言ったときにすぐにそこを開けるか開けないか。注目って言われたときに、そっちを見るか見ないか。もらったプリントをなくさずに持っているかいないか。問題文を慎重に読むか読まないか。そんなことは頭の良さとは関係ない。勉強以前のところで頑張れるかどうかが成績を伸ばす鍵だ」
こういうことが身についたら、学校という世界で生き延びることはたやすい。