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  • 2013.10.25

    出たとこ勝負 47 女子サッカー部のみなさん いつもありがとう

    出たとこ勝負

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 土曜日、朝6時10分。同僚が車で迎えに来てくれる。女子サッカー部の朝練がある曜日なのだ。普段は別々に練習をしている中・高・大の女子サッカー部員がこのときだけは一堂に会してサッカーを楽しむ。数年前からサッカー好きの同僚に誘われて、朝練に混ぜてもらっているのだ。ほかにも2~3人の教師が来ている。適当に4~5チームに分けて、10分程度の練習試合を繰り返していく。7時から8時まで、始業前に汗だくになる1時間だ。
 見る方のサッカーはずっと前から好きだった。アルザス校に赴任していた時に、たまたまワールドカップ・フランス大会があったものだから、中山雅史選手の記念すべきワールドカップ初得点、日本人第一号も現地で見ることができた。しかしやる方のサッカーはからっきしダメで、全くの素人である。若い頃ラグビーをやっていたおかげか走ることは苦にならないが、テクニックの方は今年入った中1より下手くそだ。言ってみれば、お情けで入れてもらっているオミソというやつだ。
 一番被害が少ないからか、大概トップをやらされる。ポジショニングが悪いもんだから、滅多にボールも回ってこないが、たまに素晴らしいセンターリングなんかが来てしまうと、まず間違いなく足の15cm先をボールが通過していってしまう。カッコ悪いことばかりなのだが、それでもやめようとは思わない。
 たぶん悔しさを味わいに行ってるんだと思う。この年齢(56です)になると、仕事以外で悔しい思いをすることはほとんどない。悔しいというのは嫌な感情ではあるが、前向きな感情でもある。うまくはいってないにしても、何かをやろうとする積極性がそこにはある。あのどうしようもない15cmを悔しがれてるうちはまだくたばらない気がする。

 それにしても中・高・大のメンバーがさっと集まって、当たり前のように楽しんでいるが、これってけっこう貴重なことではないだろうか。毎日通っているところに、こういう環境があることは本当にありがたい。広いグランドが提供されていること。中高の女子サッカー部顧問がちゃんとその時間に来ていること。OBやコーチも参加してくれていること。ワンキャンパスに中・高・大が同居していること。どれも貴重だ。中学生が大学生のお姉さんからアドバイスを受ける。大学生は自分たちを引き継いでくれる後輩を長い時間かけて育てていく。12歳から22歳くらいまでの幅広い異年齢交流はそれだけで価値がある。
 そして私個人で言えば、練習の邪魔にしかならないこんなオミソのおっさんを温かく(本当は渋々だろうけど)受け入れてくれている女子サッカー部のみなさんには本当に感謝している。
 そう言えば長野県教育委員会が部活の朝練禁止を打ち出したそうな。寝不足になって授業に集中できないというのが理由のようだが、中高生が寝不足なのは朝練のせいなの?ゲームやラインやツイッターでいつまでも寝ないせいだと思うんだけどなぁ。確かに朝練がきついことはある。こないだも中学と大学が試合の都合か何かで来なかったせいで、高校vs大人という対戦を8分5セットおこなった。走りっぱなしで、その後の職員朝会までゼーゼーしていた。だけどそれと授業の集中力って結びつくのだろうか。
 冒頭に同僚が迎えに来ると書いたが、実はそうしないとすぐに挫けてしまうのだ。根性がないので、ひとりだとついついサボってしまう。だから自分が逃げないように迎えに来てもらっているのだ。これもまたありがたい。