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  • 2013.08.02

    出たとこ勝負 41 槍ヶ岳2班のみんな、立派だったよ

    出たとこ勝負

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 槍ヶ岳2班との山行は楽だった。楽しかった。降らず照らずの天候にも恵まれたが、とにかく生徒が元気だった。桐組・菊組の精鋭たち、男21人・女13人。付き添い6人。ガイド3人。全員が立派だった。

 成城学園中学校の山の学校は、槍ヶ岳に3班、白馬岳に3班、唐松岳に2班の8班編制で、中学2年生全員を北アルプスに連れて行っている。その中で一番ハードなのが4泊でおこなう槍ヶ岳班だ。
 特に3日目、燕岳からいわゆる表銀座を縦走して槍ヶ岳に至るコースは美しい風景と共に過酷な登山を味わうことになる。危険なところでは怖がって足が出なくなってしまったり、バテて隊列からはずれてしまったりする生徒がよく出る。しかし今回のチームは弱音を吐く者が全くいなかった。しかも非常にハイペースで、たいがい11時間ちょっとかかるコースを10時間15分ほどで歩き通した。その日のうちに穂先へもアタックし、全員が登り切ることができた。ぶつぶつ文句を言う子もいたが、それも決してチームの雰囲気をダメにするような後ろ向きの発言ではなかった。付き添いとして、その場その場では注意をしたり、おこったりしたこともあったが、それはどれも小さなことであって、大きな流れとしては本当にすばらしい生徒たちの動きだった。
 最近の子は運動能力が落ちているとか、根性がないとか、いろいろ言いたがる大人たちがいるが、この槍ヶ岳2班の生徒諸君を見ていると、いつの世の中だって、ちゃんとしてる奴はいっぱいいるのだということがわかる。34人ひとりひとりが本校の自慢の生徒だ。
 何万歩あるいたのか知らないが、最初から最後まで自分自身で歩き通し、自分の荷物は自分で持つ。誰も代わりに歩いてはくれない。そういう当たり前のことが如何に大変で、如何に大切なことか。体験することでしか実感できないことがある。
 残念ながら槍ヶ岳1班は悪天候で大天井岳から引き返し、槍ヶ岳3班は予定のコースを回ることができたが、雨のため穂先登頂は断念することになった。白馬班・唐松班はすべて登頂することができた。

 4日目、上高地に着くとわたしの右足の親指の爪は白く死んでしまっていた。生徒たちだって痛いところは絶対にあったはずなのだが、相変わらず元気いっぱいだった。