中学2年生の学年集会は面白かった。山の学校に向けてのガイダンスだったのだが、途中で教員の努力が披露される場となってしまったのだ。海の学校・山の学校運営委員長が「体重を7キロ絞った。みんなが怪我をしたときに背負えるように妻を背負って階段を昇る練習をしている」と言うと、次に出てきた学年主任も「私もみんなが遠足に行った大山に4月からトレーニングのために5回登った。他にも大好きなビールをやめている人もいるよ」などと応じた。生徒からは驚きの声や拍手が上がっていた。やっぱり地道に頑張っている人って多いんだなぁ。かくいう私も、片道40分を徒歩で通勤して何とか体力が落ちないようにしている。
 数年前、それまでになかったほどバテたことがあった。白馬岳の付き添いをした後、槍ヶ岳に移動しての最終日だ。槍ヶ岳からの長い下りをほとんど終えようとしていた頃、足が重くて思うように進めない。前を歩いている生徒に追いつこうとするのだが、一向に距離が縮まらない。もう上高地はすぐそこなのだが、いつまでたっても到着できないような感じだった。それからだ、徒歩で通勤することにしたのは。
 山に登るようになってから知った言葉に「しゃりバテ」というのがある。しゃりは寿司屋でも聞くことがあるが、ご飯のことである。山で疲労のためや高山病のために食事がとれなくて、それが原因でバテてしまうことだ。わたしは食いしん坊なので食事が喉を通らないということはほとんどないのだが、そのときはこのしゃりバテだったのかもしれない。
 成城学園の教員になってから登山をするようになったが、付き添いだけでなく個人で行くこともあるから、ずいぶんな数になる。カミさんと初めて出会ったのも妙義山登山であった。今年は槍ヶ岳Ⅱ班に同行するが、かれこれ20回くらいは登っている。行くごとに楽しさも、しんどさも増してくる。今年はバテずに乗り切れるだろうか。

 先生方。毎年ありがとう。今年も気を引き締めて頑張ろうぜ。