中学校受験塾の老舗「四谷大塚」の模擬試験会場として中学校の校舎をお貸しした。当日受験説明などを担当された先生は成城学園中学校の「山の学校」をよく御存じだった。なんと槍ヶ岳班で利用している燕山荘でかつてアルバイトをされていたそうである。「毎年のように成城学園の生徒を見てきました」とおっしゃっていた。妙な縁があるものだ。
 受験生に付き添った保護者を対象に成城学園の説明会も催したが、そこでの挨拶で私がお話したことをかいつまんで書いておきたい。これから受験される方々へいつも申し上げたいと思っていたことだ。何かの参考になればありがたい。ちなみに12月には「日能研」にも校舎をお貸しする予定である。

 長い間、中学校の教員をやってまいりましたが、受験生を受け取る側の経験から、その保護者のみなさんにお伝えしたいことをひとつだけお話しいたします。
 簡単なことです。中学校合格はゴールではないということです。これを今からお子さんにじわじわと意識させるようなご指導が重要かと思います。
 小学生にとっては大変な受験勉強ですから、ややもすると、ここさえ乗り越えれば後は楽ができるというような気持ちが生まれてしまいます。しかし親子でその深みにはまりますと後悔することになりかねません。
 多くはありませんが、受験で入学した生徒の中には、「もう勉強しなくていいんだ」という意識が抜けずになかなか中学校の勉強に乗っていけない生徒がいることも事実です。あるいはゴムが伸びきった状態とでもいうのでしょうか、目標を見失ってしまう生徒もいます。
 ですから、どの中学に進むにしても、合格はスタートラインに立つことなんだ、という気持ちが芽生えるような意識づけが重要です。保護者の皆さんがまずそこを自覚してください。何のために頑張って受験勉強しているのか。合格のためだと思っているでしょうが違います。合格した後に中学校・高等学校の生活を楽しく有意義に送るためです。合格は大事ですが、もっと大事なのは中学校に入ってからです。
 今日はせっかく成城学園にお運びいただいたわけですから、どんな学校なのかをお知りいただく時間を取らせていただきます。
 また、そのあと、よろしければ校舎の周りを少し歩いていただければと思っています。駅から5分のところに、これだけの自然を残していることも成城学園の自慢であります。気持ちの良い散策ができると思います。