文化祭準備の日、校内では様々なドラマが繰り広げられている。映画の編集が間に合わず焦っているクラス。注文した物品が届かずオロオロするクラス。飾り付けが壊れてしまいあわてているクラス。容量オーバーの電子レンジがブレーカーを落としてしまったクラス。そんな姿があちらこちらで見られる。企画の運営は生徒が主体になって行っているが、そんなピンチの時には担任の出番がくる。
 どうしたら良いか、善後策を生徒たちと練っている。率先して手伝っている教師も多い。生徒には下校時間があるから、そのあと担任が夜遅くまで作業をしていることもある。
 こんなときいつも思うのが、教師はどこまで手伝うべきなのかということだ。文化祭ももちろん「学ぶ場」のひとつだ。準備から片付けまでの間に生徒は知らず知らずのうちにたくさんのことを学ぶ。失敗も含めて貴重な経験をする。教師がやり過ぎると、その経験を奪うことになる。といって、つらい思いだけが残るのでは次への力にならない。その丁度良いバランスを見つけるのは難しい。生徒が困っていると、どうしても過剰に手を貸すことが増えてしまう。教師の側も自分で動いた方がイライラしないですむ場合も多い。

 そんなとき重要なのが「待つ力」だ。生徒が自分で解決できるかどうか見極める力。生徒自身に考えさせ実行させる力。必要な助言をピンポイントで与えていく力。上手くいかなかった責任を引き受ける力。最終的には「結果オーライ」の状態に導く力。大人の側の総合力が問われるのだ。

 行事に限らない。日々の授業も全く同じだ。