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  • 2012.11.09

    出たとこ勝負 17 準備と片付け(文化祭その2)

    出たとこ勝負

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 成城学園中学校の生徒たちはよく働く。行事のたびにそう思う。校内大会を運営する自治会の常任委員。運動会実行委員。文化祭実行委員。みんな本当によく動いている。委員に選ばれている生徒だけでなく、多くの生徒が準備や片付けの様々な場面で力を発揮している。

 文化祭が終わった。練習の成果を出し切った企画や、すばらしいアイディアのあふれる企画がたくさんあった。しかしそういう企画そのもの以上に、準備や片付けの時間に生徒の成長を感じる。去年は何をしてよいかわからず、右往左往するだけだった生徒が、今では自分から仕事を見つけ、仲間を作り、工夫して取り組める頼もしい生徒に変わっている。
 準備の日、中庭にステージを組み立てる作業を手伝った。倉庫から脚・土台・床木などを次々と運び出してくる生徒がいる。用務員さんの指示でそれを順序よく組み立てていく。重い土台を一人で運んでくる女の子もいる。床木のずれを気にして必死で直している力持ちもいる。この上で行われるダンスやバンドやコンテストもかっこいいけれど、その舞台を組み立てているキミたちも同様にかっこいいのだ。
 片付けも見事だった。展示や部屋の区切りに使ったベニヤで作られた何百枚ものパネルが流れるように地下の倉庫にしまわれていく。最も力が必要な倉庫の中だけは教員が担当しているが、後は生徒たちがすべて運んでいくのだ。災害の後などに、協力して労を惜しまず働く日本人の姿がクローズアップされることがあるが、こうやって日本中の学校で知らず知らずのうちに他者の役に立つことを学んでいっている結果なのだろう。

 今も中庭で最後の片付けを行っている文化祭実行委員の声を校長室から聞きながら原稿を書いている。お疲れ様。ありがとう。