名前の由来は知らない。強歩大会であって、競歩ではない。実態は10kmのマラソン大会である。私が教師になった頃は20kmだった。当時は西湖2周だ。私も4回走ったことがある。隠れ体育会系学校、成城学園の本領発揮という行事だった。今でもそうだ。中高別の日ではあるが、中1から高3まで多摩川の河川敷で10kmを走る。

 今年は中2男子で校内新記録(35分19秒)が出た。すばらしい。しかしみんながそんなに速く走れるわけではない。ひとりひとりが自分の目標を持って取り組んでいるのがこの行事の価値だ。
 私が考えている目標はこうだ。第一段階:歩いても良いからやり通す。第二段階:歩かずに走り通す。中1はこれでOK。中2以上は第三段階:去年の自分に勝つ。これが最重要だ。ここまではみんなが持ってほしい目標だ。その上は第四段階:表彰されるベスト10に入る。第五段階:優勝する。第六段階:新記録を出す。今年は第六段階を達成する生徒がいたわけだ。実力があればここまで目指してほしい。
 私は見るスポーツの中で陸上競技は好きなもののひとつだ。何秒で走った。何メートル跳んだ。何メートル投げた。などということが数字で厳密に示される。リレーなどもあるにはあるが、基本的には個人種目で、結果をひとりで背負っていかなくてはならない。運が働く余地がかなり少ない。そういう厳しさが見ていて面白い。だから生徒にも強歩大会の結果をしっかり受け止めてほしい。そして第三段階として示したように来年は自己ベストを目指してほしい。
 そういう点から言うと一番かっこ悪いのは数字を自分で引き受けられずに言い訳する生徒だ。「本気を出せばもっと行けたけど、こんなのやる気がしなくてさ」とか「友達につきあってて遅くなった」とか言い訳する奴にだけはなってほしくない。

 この行事、生徒は一応いやがる。きついに決まっている。でも結局頑張ってしまう。前にこんな声を聞いたことがある。「短距離は才能がないと良い結果を出せないけど、長距離は地道に努力すれば、必ず報われる。だから強歩大会はやっぱり好き」と。

 「結果がすべて」という体験もそれなりに大事なのである。