第74回中学校卒業証書授与の会 式辞・答辞

学校生活

第74回中学校卒業証書授与の会 式辞・答辞

少々、お時間をいただきましたが、3月19日(金)に行われた、 第74回中学校卒業証書授与の会の式辞・答辞の全文を公開いたします。 今年度は、密を避けるため式の会場には卒業生と教職員のみ、残念ながら保護者と在校生の参列は見送らせていただきました。すでに式の様子はご紹介いたしましたが、式辞・答辞には保護者の方や在校生に向けてのメッセージも含まれておりますので、ぜひご一読ください。

校長 式辞

 みなさん ご卒業おめでとうございます。
 それから、ご参列いただけなかったのですが、保護者の皆様に、あらためて、御礼を申し上げます。これまで、本当にありがとうございました。みなさんも、是非、みなさんの感謝の気持ちを、今日、帰ったら伝えてください。

 さて、10年前のことですが、私は、中3の担任をしていました。その年は、卒業生のパーティーのようなものをやる予定で、そのパーティーで、1年間の出来事を振り返るちょっとした劇をやるつもりで準備をしていました。ところが、その劇の準備がほぼ終わった、3月11日に東日本大震災がおこり、卒業パーティーは、もちろん、記念講堂での卒業式もできなくなりました。その時、私が、担任していたのは、当時の欅組です。運動会でも、合唱コンクールでも、校内大会でも勝てませんでしたが、毎朝、教室に行くのが楽しみで、研究日がもったいないと感じることすらありました。勉強が苦手な生徒もいましたが、みんなで助け合う雰囲気ができていたクラスでした。結局、劇の準備は無駄になったので、生徒と一緒に作った劇で使う小道具を捨てながら、何だか一人だけ残されてしまうようなさみしい気持ちになったことをおぼえています。とくに、当時は、中学校と高校が、別々の校舎だったので、そんな気持ちが強かったのかもしれません。 
 クラス担任っていうのは、不思議な存在だと思います。クラス担任だけではありません、成城学園中学校高等学校では、学年会の先生たちは、毎日のように生徒のことを見ながら3年間を過ごします。そんな先生たちは、みんなの成長を身近に感じながら時間をすごすので、生徒本人が気づいていないような変化を感じることもしばしばおこり、「今日、●●君が、先生よろしくお願いしますなんて言ったんですよ。中1の時は言えなかったよね」「そうそう、あいつも、大人になったよねー」なんていう会話をすることが、よくあります。
 大人になっていく。
 みなさん自身も気づいていると思いますが、中学校の3年間で、みなさんは、だいぶ大人になったと思います。個人差はあるでしょうが、私は、みなさんが、すでに75%ぐらい大人だと思います。でも大人と子供って何が違うんでしょうか。
 子供は小さな大人じゃなくて、子供は子供だと思うのです。たとえば子供は、日頃、いろんな刺激を求めて行動します。道を歩く時だって、段差の上を歩いたり、落ち葉の中に突っ込んでいったり、水たまりをバシャバシャしたり、とにかく、そんなことを、「面白い!」って感じる力を持っています。雪が降った日に、夢中になれる、そんな気持ちと力を持っているのが、子供のすごいところだと思うのです。
 先日、私の知り合いでニホンザルの研究をしてきた人が、子供が、いろんな刺激を求めて、いろんなことをするけど、これは、どうも人間だけじゃなくて、哺乳類に共通のことのようだと、教えてくれました。たとえば、ニホンザルの子供も、何にでも興味をもって、なめたりかじったりします。時には、はちの巣を突いて、刺されて顔中が腫れ上がったりする子ザルがいたりするそうです。周りで別の子ザルはそれを見ていて、その子ザルたちはハチの巣に近寄らないようになるなんていうこともあるそうです。
 何かに興味を持って、ただただ面白いと思って行動する。この気持ちを持ち続けることと、この気持ちに単純に動かされないで、先を考えて行動しようとするようになること。この二つは、皆さんが高校生としての時間を過ごす時の、ある意味テーマになります。 もう、水たまりの中に長靴で入って、バチャバチャしても、小さな頃のように、何度も何度も続けられるような、面白さを味わうことはできなくなっていきます。その代わりに、他の人の気持ちや、考え方、感じ方がわかるようになり、自分以外の誰かのために自分の時間を使うことに楽しさや幸せを感じられるようになっていくと思うのです。 
 10年前、この場所で、卒業式ができず、そして、去年、やはりこの場で卒業式ができませんでした。今年になって、何とか、今みなさんに集まってもらうことができましたが、皆さんの保護者の方々に、この場所で、みなさんのために時間を使ってもらうことができず、それがとても残念なのです。この話の最初でも言いましたが、皆さんの一人一人の存在が、そして、みなさん一人一人のために時間を使うことが、ある意味、皆さんと関係がある大人の楽しさや幸せだということを、あらためてわかってほしいのです。
 10年前、去年、そして、今年と、卒業式ができなかったり、いつもと違う形になったりすることによって、私には、今まで見えていなかったものが見えてきたのですが、皆さんには、ぜひ、当たり前の大切さを、当たり前がある時に気づくことができる、そんな大人になってほしいと思います。

 令和3年3月19日

卒業生 答辞

 いつもより早い桜の開花が春の訪れを知らせるこの良き日に僕たちは成城学園中学校を卒業します。この頃になると、僕は小学6年生の春、この成城学園の転入生として足を踏み入れた時の事を思い出します。その時の自分へ卒業を迎える今日の僕から「成城に入って心から良かった。中学3年間すごく楽しかった。」そう伝えたいです。
 それまで僕が通っていた学校は、勉強に一番力を入れている学校でした。クラスメイトは仲間ではなく競争相手。先生は勉強を効率よく教えてくれる人。そこで輝ける人もいるでしょう。でも人と争うことが苦手な僕は、なぜクラスメイトと競うのだろう?と思っていました。そう悩んでいた時、僕に成城学園に入るチャンスが巡ってきました。僕は転校することを決めました。そして成城学園に入ってみるとあまりの違いに驚きました。
 まず驚いたのは人のあたたかさです。僕はラグビー部に所属していました。中学校生活で一番頑張ったのが部活動です。そんなラグビー部で、僕は教え合うことの大切さを学びました。小学校の頃、僕は友達から何かを教わったことがありませんでした。だから、間違った方向に進んでいても、自分ではわからないままでした。でもラグビー部では仲間が「違う」と教えてくれました。
 もちろん個性が豊かすぎるメンバーなので、もめごともありましたが、家族よりも長く、一緒に過ごしてきた掛け替えのない仲間となりました。そんな仲間がいたからこうして3年間成長しながら部活をやり遂げることができました。間違っても喧嘩しても、何度でもやり直せばいい。それを教えてくれた19人の仲間に僕は感謝しています。
 人のあたたかさを教えてくれた人は他にもたくさんいます。例えば先生方。前の学校では「一つの正解」を教えてくれる役割だった先生は、成城では、「正解はいくつもあって、それを自分で選んでいいんだよ。それに向かってサポートするよ」と僕の意見を尊重してくださいました。僕はこの3年間でいろいろな役割を任せていただきましたが先生方はいつもあたたかく僕の背中を押してくれ、そのおかげで恐れず挑戦することが出来ました。自分が考えていた何倍も、いい自分に成長できました。
 部活動以外に中学校生活で思い出深いのが合唱コンクールです。クラスみんなで合唱した時の感動は特別なものだと思います。声が高かったり、低かったり、歌い方が上手いなどなどクラスメイトそれぞれの違う個性が合わさって合唱は出来ます。それはまるで、形の違うパズルのピースが合わさって、一つの絵が出来上がることに重なると思います。この時、生まれる感動が僕は忘れられないのです。合唱は1人ではできません。一緒に表現を作りあげる仲間、感動を受け止めてくれる相手が必要です。そんな仲間に出会える場所が学校なのです。学校の魅力の一つはそこだと僕は思います。この魅力に気づけたのも、成城学園のおかげです。
 そしてどんな時も楽しむこと。これも成城学園で教えてもらった最高の価値観です。僕は今年度、スポーツ成城Jr.の議長を務めました。コロナ禍となり、いろいろなことが制限された今年。ただでさえどんよりした世の中で、これ以上落ち込む人を作りたくない。明るく前向きな気持ちになれるようにするにはどうすればいいか、そう考えた時、今年の飛翔祭のスローガン「楽しんだもん勝ち」を思いつきました。結果は大成功。急遽中高別開催となり大変でしたが、それ以上にみんなの笑顔に溢れた飛翔祭になったと思います。みんなの楽しそうな顔を見て僕は胸がいっぱいになり、気づくと目から涙が滲み出ていました。ここまで話してきましたが、飛翔祭が成功したのはスポ成の力ではありません。実行委員の皆さんがいてくれたからです。皆さんの支え、行動力がなかったら成り立ちませんでした。本当にありがとうございました。そして最後まで楽しいまま飛翔祭を終えられたのは、いつも一緒に悩み、笑い合って乗り越えてきた同じスポ成の御子柴くん、亀田さんがいたからです。こんな僕を支えてくれてありがとう。一生忘れません。
 中学校3年間で、いろいろな人と出会い、経験を積むことができました。これは成城という恵まれた環境の中でそれぞれが良い個性を持ったクラスメイトと関わることができたから得られたものです。
 1、2年生の皆さん、これから大きな壁にぶつかることがたくさんあると思います。まだしばらく感染症ともつきあっていかなければなりません。でも目の前の困難から逃げず仲間と助け合いながら挑戦してみてください。どんな状況でも楽しみ、前向きに捉えてみてください。乗り越えた先に、より良い自分に出会えるでしょう。
 最後になりましたが保護者の方々、今日まで僕たちを育ててくれてありがとうございます。これまで心配をかけた分、立派な大人になって親孝行をするので、温かい目で見守ってくれたら嬉しいです。
 楽しかった、悔しかった、悲しかった、さまざまな思い出が詰まったこの中学校生活を僕たちは忘れることはないでしょう。それを見守ってくれた成城学園中学校、校長先生をはじめとする先生方、学校関係者の方々、そして僕の中学校3年間を一緒に過ごしてきた仲間に感謝の言葉を述べ、答辞とさせていただきます。3年間本当にありがとうございました。

 令和3年3月19日

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