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  • 2017.10.31

    ブログ「出たとこ勝負」特別編 100年という時間を考える

    出たとこ勝負

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 文化祭の準備を始める前の時間を使って、001教室から各クラスにモニターを通じて話をしました。以下はその全文です。

 こんにちは。
 今年の文化祭は創立100周年ということで、やはり特別なものになってほしいと願っています。準備前の時間をいただいて、私から話をいたします。
 成城学園が今年100周年だということは、何度も耳にしていると思います。みなさんも知っているように、100周年を迎えたのは初等学校ですから、中学校高等学校としては特別な会を催さないまま過ごしてきました。学園全体の100周年記念行事としては来年の秋におこなわれる学園運動会が予定されています。これは大グラウンドの人工芝化の記念行事でもあります。また、あさってからおこなわれる文化祭も100周年の年におこなわれる学園全体のイベントです。みなさんもそういう記念すべき年の文化祭を自分たちが創っていくという誇りを持って取り組んでください。
 100年という時間について考えてみたいと思います。
 平均寿命の延びた現在では100歳を超えて元気な方がたくさんいます。みなさんのひいお爺ちゃんやひいお婆ちゃんの中には100歳前後の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 そう考えてみると100年はひとりの人間の寿命の枠内に収まるわけですから、それほど長い時間ではないのかもしれません。逆に考えると、ひとりの人間の一生というのはさまざまな体験のできる時間が与えられているとも言えるのかも知れません。
 100年前、1917年はどういう年だったでしょう。今ロシアという国がありますが、ロシアではこの年に大変な出来事がありました。世界史で習いましたか。ロシア革命です。その結果1922年に新しいい国が生まれました。
 ソビエト社会主義共和国連邦です。周辺の地域も巻き込んで世界一広い国となりました。縮めてソ連と呼ばれていました。第二次世界大戦では日本の戦争の相手国でもあり、戦後はアメリカ合衆国と対立する強大な国にもなりました。
 しかしご存知のようにいまソ連という国はありません。1991年に崩壊と言うのか、解体と言うのか、いくつかの国に別れ、政治体制も大きく変わり、今に至っています。
 ひとつの国が誕生し、発展し、巨大な力を得た。にもかかわらずうまくいかなくなってしまう。それがたった69年間のできごとです。成城学園が誕生したのと同じ年を出発点として、ひとつの国が作られ、そして終わっていく。100年という年月がいかに長いかということを感じさせる出来事です。
 見る角度によって100年の長さも変わってしまうようですね。
 成城学園はソ連と違って100年の年月に耐えることができました。これからの第二世紀でさらに素晴らしい学校となっていくために、みなさんが協力してくれることを期待しています。みなさんが生き生きと楽しく成長すること。それが成城学園を支えてくれます。この文化祭もそういう行事にしてください。
 各クラスのモニターで見ている人にはわからないと思いますが、今001教室には文化祭実行委員が全員集まっています。この文化祭を支える人たちです。どうもありがとう。
 成城学園にもたくさんの歴史が詰まっています。
 いくつか例をあげましょう。
 100年前、成城小学校ができた時の児童数を知っていますか。1年生26人、2年生6人です。たった32人からこの学校は出発しました。今は中高だけでも約1560人の生徒が学んでいます。
 成城大学は現在4つの学部で構成されています。すべていわゆる文系の学部です。ですから理系を目指す人は受験をしますね。実は成城大学にも理系の学部がありました。1950年から3年間だけ理学部がありました。もし今もあったら進路が変わった人もいるかもしれません。
 フランスに学校を作っていたことは知っていますか。2005年までアルザス成城学園という学校がありました。私もそこで働いていました。
 中学校でおこなわれている海の学校、いまはホテルに宿泊していますが、ずっと富望荘という合宿所を利用してきました。今みんなが浜辺で着替えをおこなっている場所に建物がありました。これは1940年、つまり第二次世界大戦の始まる直前に寄付された施設です。残念ながら東北の大地震の時に被害を受け取り壊しとなりました。
成城学園から広がっていった学校もあります。玉川学園・明星学園・和光学園などは成城学園にゆかりのある方が創られた学校です。
 こうして眺めてみると本当にいろんなできごとがあります。今年、第一回飛翔祭を行ったということも成城学園の歴史に刻まれることになりました。それはみなさんが作った歴史です。
 学校の歴史を話すと、どうしても創立者澤柳政太郎にまつわる内容が多くなってしまいがちですので、今日はあえて別の面を切り取ってみました。
 みなさんが成城学園の歴史に少しでも興味を持ってくれればと思って、今日は時間をいただきました。
 100周年の記念品としてみなさんには卒業生の森山直太朗さんのCDを配ります。この曲は直太朗さんが学園のために作って下さり、5月5日に行われた祝賀会で初めて披露されたものです。中学の合唱コンクールで「さくら」を歌うクラスが毎年のようにありますが、この新しい曲も合唱コンクールで歌われるようになると良いなぁとおっしゃっていたそうです。
 これで私の話は終わりです。100周年にふさわしい素晴らしい文化祭になるように、いろんなアイディアを出し合って、実行していってください。以上です。