今年の入学試験は、天候にも恵まれ、大きなトラブルなく、中高ともに無事終えることが出来ました。合格書類を渡す時に嬉しそうに笑顔で受け取る受験生や、親子で涙を流しながら受け取る受験生を見ると、毎年の光景ながら、これからの6年間責任を持ってお預かりする使命感に駆られます。
 今回は、幼稚園から成城で過ごし、いよいよ14年間の学園生活を終え、新たに旅立つ高校3年生の女子生徒に来てもらい、中高6年間を振り返る感想を聞いてみました。

博学深究 20 やれることは、やる。

進路も決まり、いよいよ卒業式を迎えるだけになりましたが、今の気持ちを聞かせて下さい。
F) 高校に進学してからが、あっという間で、特にこの1年は更に早く感じました。
女子サッカー部のキャプテンとして、勉強との両立も大変だったと思うけど、両立のポイントはありますか?
F) 私は、コツコツ勉強するタイプではなく、テスト1週間前からガーと集中して勉強するタイプだと思います。部活が終わったら、すぐに勉強に集中する。オンとオフの切り替えが、ポイントだと思います。
中高6年間を振り返ってみて、どうですか?
F) 高校3年生の1年間は、どの時間よりも濃かった気がします。最高学年として、どの行事もこれで最後という思いが強く、責任感も強く持って臨みました。
この6年間で、自分が成長できたと実感することは、ありますか?
F) 中学生の時は、ひたすら楽しんでいるという感じでしたが、高校生になると周りの人が見えるようになってきました。周りを考えて行動できるようになった気がします。
なるほど。大人でも周囲の雰囲気を読めない人は、いるよね。
F) このことのベースにあるのは、女子サッカー部顧問のS先生で、生活面でもすごく厳しかったからだと思います。中学生の時は生意気で、「口うるさいな」と反発していたけれども、今では、一番大切なことだと思います。
S先生は、いつも皆に優しく接しているようだけど、そういう厳しさもあったんだね。それでは、ズバリあなたにとって、『成城教育』とは?
F) ん~、難しい質問ですね。私は、幼稚園から成城で過ごし、厳しい規則に縛られたことがありません。いつも自分のペースで自由にさせてもらいました。何事も自分たちのペースでやらせてくれるところが、成城教育の良い所だと思います。自主自律や個性尊重は、これらの指導の根底にあるような気がします。
あなたの「座右の銘」は、何ですか?
F) 「やれることは、やる。」です。
具体的には、どんな時に、この言葉が生きるのですか?
F) 女子サッカー部の練習で例えると、試合前でも広い場所で十分な練習が出来ない時があります。男子サッカー部の練習が終わった後で、グラウンドを譲ってもらい、制限された時間の中で、やれることをやらなければなりません。テスト勉強でも、やれるところまでは、絶対にやる。何事にも妥協をしないということです。
Fさんは、卒業生代表として、第69回卒業式に答辞を行ないますが、後輩たちにどんなことを伝えたいですか。
F) 卒業式の答辞にも書いたのですが、来年度からは、学校行事がすべて中高一緒になります。不満を言う人もいますが、もっと広い視点に立って、考えなければいけないと思います。高校生だけで出来ずに嫌だなと思う暇があったら、もっと前向きに与えられた条件の中で、新しい歴史を作ってもらいたいと思います。来年が成功すれば、再来年に繋がる。後から後悔するのではなく、今やれることをやってもらいたいと思います。
ここでも座右の銘に繋がったね(笑)。それでは、最後に将来の夢を聞かせて下さい。
F) 中1の時から歴史が好きなので日本史の先生になりたいと思っています。中1の時、担任の先生との面談で、「(あなたは)学校の先生に向いているんじゃない?」と言われ、それから社会の先生になりたいという思いが始まりました。
中1の時の担任の先生の一言が、君の将来の目標になった訳だね。
F) 今、考えると単純ですね(笑)。
今日は、色々と聞かせてくれて有難う。それでは、卒業式の答辞を楽しみにしています。

 いつも中学生にインタビューをするので、分かり易く、回答し易いように質問するのですが、今回は、少々難しい質問をぶつけてみました。それでも、さっと明解な回答が返ってきました。卒業を間近に控え、どの質問にも明るく笑顔で答えてくれましたが、その言葉からは、辛く厳しい時間もあったことが想像できます。彼女らにとって、この中高6年間は、かけがえのない貴重な宝となることでしょう。

 高校3年生諸君、卒業おめでとう。皆さんの更なる活躍を期待しています。