学校生活
6月18日(火)に中学校高等学校でサイエンス教室を開催しました。サイエンス教室は、専門の研究者による講義を拝聴したり、実験を観察したりしながら少し高度なサイエンスを学び、その体験を通じて中高生に理系の興味を喚起することを目的として年2~3回実施しています。今回のテーマは「ミクロの世界を覗く」。講師に日本化学会フェローで理学博士の坂入実氏をお迎えして、目に見えない物質の量を測る(がん検査)、目に見えない機能を測る(脳機能計測)をテーマに講義していただきました。現在、株式会社計測基盤技術研究所でがん検査、メディカル、ヘルスケアなどの技術コンサルテーションの事業をされている坂入氏。がん検査における負荷を減らし、再発のリスクを最小限に抑えるためのがん検査の最前線について教えていただきました。また、脳機能を測定する検査方法や、ニューロンと呼ばれる神経細胞の間をシナプスを介して送受される神経伝達物質の種類やその特性について(高校2年生で学習)、大変興味深い解説をしていただきました。
途中、株式会社日立ハイテクのラボと教室をオンラインで繋ぎ、日立ハイテクの寺田大平氏によるウェビナー形式で「~知っているものの知らない世界~電子顕微鏡で見てみよう!」を実施。ラボにある電子顕微鏡を教室のノートパソコンを使って生徒たちが遠隔操作し、ヨーグルトの蓋にある凹凸や花の花粉、スポンジなど目に見えないミクロな世界を電子顕微鏡で拡大して観察しました。
坂入氏は、講義の最後に今回のサイエンス教室で話題に出たドーパミン(楽しさ、ご褒美、ほめられるなどの報酬を求めて頑張るときに産生される神経伝達物質)を挙げ、「人生の目標が明確になり、目標達成に向けて活動が継続できたのはドーパミン型モチベーションがあったから」とご自身の経験をお話しくださいました。「いろんなことに触れ、いろんな人と出会い、時間をかけて興味を見出し、それに従って目標をたててほしい。今すぐでなくてもこの時期に考えた経験がのちに役に立つ」と生徒たちに貴重なアドバイスをくださいました。身近なもののミクロな世界、化学物質の不思議な世界を知り、興味を持つきっかけにつながる機会となりました。
細胞からの分泌物にはがん細胞由来の物質が含まれている、と話す坂入氏
途中、日立ハイテクのラボと繋いでウェビナーを実施
ラボにある電子顕微鏡を遠隔操作しました
花粉が何百倍にも拡大されて画面に表示されました
神経伝達物質の興味深い特性を教えていただきました
参加した生徒と坂入氏(右から3人目)