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2025.12.05
今日で2学期の期末テストが終わった。この後、教員にとっては怒涛の日程が続く。採点、成績提出、面談日、中高それぞれの3年生の進学・推薦に関わる会議、海外帰国生入試。年末年始休暇もつかの間、中学のスキー学校に高校のスキー教室、高校推薦入試、中学入試、高校一般入試と息を継ぐ暇もない2か月半が待っている。その点、生徒たちはうらやましい。テストが終われば、教員の忙しさの裏で、彼らには自由な時間が待っていることになる。
ところで、今日のネタは「R週間」。これは中学にしかないもので「Review」つまり「復習」週間というものである。成城学園では定期テストは年に5回あるが、その定期テストの前1週間は部活動が禁止となる。その期間に、中学では復習に充てる放課後の勉強時間が開設される。
ある科は「勉強会」と称し、参加したい生徒を自由に募って質問対応やちょっとした講義形式をとっているし、またある科は「指名制」をとり、過去のテストが悪かった生徒を指名して参加を促し、次のテストでしっかり頑張れるよう演習形式をとっているところもある。
こうしたある種バラバラな対応が保護者にとってわかりにくい部分もあるのか、「ちゃんと補習をやってほしい」というような声も聞こえてくる。これまですべての科で「指名制」を取り成績が芳しくない生徒を呼びだしたことがあるが、限られた放課後の時間枠の中、指名されてもすべての回にちゃんと参加できないという現状があり、現在の形に当座落ち着いている。
学校において、なかなか学習効果があがらない子への対応はもちろん重要だが、そちらに重きを置くともっと伸ばしたい子への対応がなおざりになってしまう。せっかくの補習なのに一斉授業にすると一人ひとりへの対応ができないことがあるし、「もうわかっている」ことを「無駄に聞かなければならない」生徒もでる。個別指導方式で、勉強会&質問会のような形を取ることが一人ひとりへのマッチングを考えればベストだが、そうすると「せっかく補習授業に参加しても何も教えてもらえない…」という声が寄せられることになる。
筆者は社会科担当だが、私の場合は成績が芳しくない子を指名して呼び出し、その他の子の参加は認めなかった。できない子のそばにできる子がいることで、できない子が恥ずかしがってきちんと取り組めない状況をつくらないためだった。週4コマほどR授業を開設したが、すべての回にしっかり出られた子はゼロ。だいたいは「他の科も受けなきゃいけないから次回は出られません…」となる。参加者が安定しないと講義型の補習はできず、個別に教科書の穴埋め問題に取り組むとか、まとめのノートをつくってそれをチェックするとか、個別の作業中心になってしまう。
まったく別の視点からみると、R週間は教員にとっても定期テストをつくらなければならない時期。同じ授業を複数の教員が受け持つのが当たり前なため、テストの原案ができてはじめて担当者間での検討会が始まる。そういうこともありR週間の放課後日直は座学の教員ではなく実技系の教員があたることになるが、実技系の教員にとっても作品の未完成者への対応があり、あちこちから教員の悲鳴が聞こえるのが現状だ。
勉強にしっかり向き合ってもらい、しっかり学習効果をあげてテストに臨んでもらいたい…。それは親も教員も同じ思い。もちろん生徒自身もそうありたいと願っているだろう。みんな同じ方向にベクトルは向いているのに、R週間を見ていると、生徒・教員・保護者がそれぞれにもがき苦しんでいるようにもみえる。
制度をつくるのは、難しい。
※本文には関係ありませんが、写真はこの時期の中1椿組からみえる見事なイチョウの光景をご紹介します。大きな窓全面に見事なイチョウの紅葉がひろがります。