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2024.12.06
11月20日、中学だけの行事である「合唱コンクール」が記念講堂で開催された。この合唱コンクールは今年で35回を数える中学校の名物行事である。コロナ禍で中止されたこともあったが、学年の差異はつけず21クラスがクラス合唱を披露し、ガチンコで金、銀、銅を競い合う。
この行事にかける生徒の意気込みもさることながら、担任の気合いの入り様もすごい。特に中3の担任ともなると、中学3年間の締めくくりとなるこの合唱コン、かつ、クラスの団結とハーモニーが問われる「合唱」とあって、「金賞をとって終わりたい!」という想いが強くなる。
筆者は2年前、中学3年の桂組を担任していた。男子より女子が少ないクラスであったにもかかわらず、女子から指揮者も伴奏者も出すことになり、元気な男声と、ちょっとパワーが足りない女声とのアンバランスが目立っていた。まずは生徒と音楽の先生に任せてあまり関わらないようにはしていたものの、担任が立ち会わなければならなかった放課後練習を見るにおよんで、男声の「がさつさ」とそれに対しての女声の控え目なところがとても気になってしまった。
生徒から何か言われるかなと思いつつ、「男子はもっと声量を抑えて。女子もう少し頑張って」「男声のブレスの部分を丁寧に」「曲の最後に向けての盛り上がりを意識して」と、思い切って伝えてみた。生徒たちは意外にも私の意見を聞いてくれ、「みなちゃんが言ってくれてよかった!」と話してくれた子もいた。講堂での練習の後、ソロをつとめる男子生徒の歌い方がイマイチと練習をさせていたら、他の子も集まってきて、その子にあーだこーだとみんなでアドバイスしてくれた。秋の宵、闇が深まるひんやりとした空気の中、男子数名と一緒に歌った瞬間は、私の思い出になった。
ダントツで声が出ていた竹組に金賞は持っていかれたが、わが桂組は銀賞を獲得することができた。
彼らが本番の舞台に立っているとき、担任はクラスの席にひとり座っているのだが、コロナ禍でまともな合唱コンが出来なかったこの代、さらに筆者にとって24年ぶりの中3担任ということで、聞いている身体にもとても力が入っていたことを憶えている。手を組んで強く握りしめ、(「女子、頑張れ!」「男子、丁寧に行け!声、出しすぎるな!」「後半の盛り上がり、しっかり!」)と…。
正直、成城学園の合唱コンを声楽のコンクールと見れば、へたくそだ。地声で歌っている生徒も多いし、「がなり声」が気になる生徒もいて、いわゆる「合唱」として調っているかと言われればそうではないように思う。
でも、胸が熱くなる。こみ上げてくるものがある。本当に感動する。生徒たちはみんな一生懸命うたっている。普段からあまり声を出さない男子も、口をあけて、しっかり指揮者を見て歌っている。指揮者の背中から、みんなをしっかり支えて、笑顔で合唱をリードしている様子も見えてくる。直前まで緊張であたふたしていた伴奏者も、ドキドキしながらも一生懸命ピアノに向き合っている…。
あのひとときは、担任としてたまらない。いい生徒たちだったし、いい歌声だった。
この合唱コン、このままでもいいのだろうが、個人的にはもう一歩の高みに登ってほしい気持ちがある。ぜひ混声4部で、このブログのタイトルでもある「ゆめみる」をしっかり歌うクラスが出るような、そんな行事になってもらいたい。
合唱に力を入れている学校は多いと思うが、こんなにも教師や親の心を揺り動かす合唱のチカラはすごい。目まぐるしく時が過ぎゆく2学期のクライマックスに、こんな光景を見せてくれる生徒たちは、本当に成城学園の財産だ。
緊張のクラス合唱
聴く側も真剣そのもの
圧巻の学年合唱
生徒が描いたプログラム表紙
※画像は一部加工してあります。
冬休みに入るため、副校長ブログはしばらくお休みさせていただきます。