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  • 2024.09.13

    副校長ブログ「ゆめみる」第28号 『支えられて、幾星霜』

この夏も「海の学校」と「山の学校」を無事終えることができた。とはいえ、「山の学校」は昨年と違って天気に翻弄され、頂上登頂はおろか途中で行程変更を余儀なくされた班もあった。筆者はこの夏、白馬岳班と唐松岳班がお世話になっている白馬村を訪ねたが、山の学校が多くの方に支えられてここまで続いてきたことを実感する白馬行となった。

白馬岳班は初日に白馬・栂池に一泊して翌日白馬岳に登頂、山頂付近に建つ白馬山荘に宿泊する。3日目に下山して白馬村岩岳にある「ラ・モンターニュ・フルハタ」に宿泊し、3泊4日の行程を終えて帰京する。中学校の山の学校は、長くこの岩岳にあった旅館「ごお津」にお世話になってきた。栂池には、昭和10年、当時の旧制高校山岳部のメンバーが郷津長平氏の支援のもとで建てた山小屋「太極荘」があり、その後、その息子さん、そしてお孫さんと3代にわたって成城学園の登山を支えていただいた。今はもう廃業されてしまったが、ご主人、奥さん、そしておばあ様、娘さん、「ポチ」という名のセントバーナードの看板犬と、ご家族で温かく迎えていただいたことを昨日のことのように思い出す。いまお世話になっている「フルハタ」はその郷津さんのご親戚にあたる。

筆者は唐松岳班の初日の宿泊地となる八方の「対岳館」に一泊お世話になった。こちら「対岳館」は、唐松岳登山の出発点となる八方のゴンドラ乗り場に徒歩10分ほどの場所にあり、ご親戚の丸山さんが経営する宿とのことで、降籏さんの紹介を受けてお世話になっている。対岳館を訪問させていただいた折、もう90歳を超える大旦那さんとお話しさせていただいたが、長いこと登山とスキーで地域を訪れる人々をお世話されてきた経歴を持ち、成城学園の槍ヶ岳登山も若い頃にガイドしたことがあるとおっしゃっていた。対岳館の裏にあるご自宅の蔵を改装した私設の資料館には、戦時中の冬山スキーや登山の用品や写真などがところ狭しと展示されていた。

山の学校は山専門の旅行業者さんにお願いしている部分はあるが、学校とその宿との、昔からの縁で支えてもらっている部分が多い。槍ヶ岳班の行程でも、初日の中房温泉の百瀬さん、燕山荘の赤沼さん、槍ヶ岳山荘の穂苅さん、上高地・西糸屋山荘の奥原さんと、成城学園の山の学校をずっと可愛がってもらっている。感謝の想いしかない。

山の学校の歴史は、「人」とのつながりで支えられ、守ってもらってきた。

成城学園は、時代が変わろうと、世の中が変わろうと、「人」とのつながりを大切にする学園でありたい。

  • 白馬駅近くから望む北アルプス
    白馬駅近くから望む北アルプス

  • 唐松登山の出発点 八方ゴンドラ
    唐松登山の出発点 八方ゴンドラ

  • 唐松班がお世話になる対岳館
    唐松班がお世話になる対岳館

  • 対岳館の資料館
    対岳館の資料館

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