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2024.06.28
成城大学の全学共通教育科目に「成城学園を知る」というものがある。学園内外での2度のフィールドワークを含めた全15回、輪講形式で実施される授業である。今年度の講義一覧を見ると、創設者「澤柳政太郎の生涯と業績」に関する授業や、成城学園が伝統的に大切にしている「自学自習」という教育方法に関する授業などが並んでいる。
後半は幼、初、中高、大学の各校がその教育内容を紹介する授業が続き、最後は戸部学園長による、学園の第二世紀への取り組みと展望が語られる授業で終わる予定のようだ。成城大学の学生はもちろん、学園の保護者や新人職員なども聴講しているのだという。
校長からの依頼で、今年度は私がこの授業を担当することになった。「中学校高等学校の現在」というお題を示され、90分の授業をしてくれという。大学の授業はもうかなり以前に中学校社会科教育法の授業を2年ほど担当していたが、久しく90分の講義を担当していない。また、中高の現在と言われても、もちろん話しきれないほどの特色はあるものの、最近はむしろ解決すべき課題のほうが(立場柄かもしれないが)多い印象を持つ。きれいごとだけを並べても、実際につい最近まで中高で過ごしていた卒業生や、実際に子どもを通わせている保護者にはどう映るのだろうか、とも思え…。
結局は、中高の「教育」「入試」「生徒」の現在という3つの章立てで、中高の現在の取り組みだけではなく、筆者の考える「課題」とあわせてのお話しをした。授業後には聴講生として参加されていた保護者の方が数名声をかけてくれた。「先生の語る成城学園の教育への想いを聞いて安心しました」「子どもが初等学校にいるので6年後よろしくお願いします」…と。その中には、筆者が1999年、2000年と勤務したフランスにあったアルザス成城学園の教え子もいて、懐かしい瞬間だった。
副校長という役職は、学校説明会や外部で行われる相談会などに出ていく機会が多いが、成城学園の魅力を語ることはできるとはいえ、それが、他の学校では味わえない、成城学園「独特の」ものかと言われると正直わからない部分もある。「英語教育」はどこの学校でも力を入れていると思うし、「コミュニケーション力」を育成すべき一つのスキルとして打ち立て、大学の総合型選抜に力を入れている学校も多いだろう。先日区内の他校の先生とお話しする機会があったが、その学校では中学時分から、数学と理科を英語で授業しているのだという。「高校生ぐらいになると生徒も慣れてくるんですよ…」と。数学、理科の教育効果のほどはわからないが、英語という観点でいえばとても敵わない。
ただ、先日行われた学校見学会「成城学園に集まれ!2024」の参加者アンケートの中に、「〇○や××などの学校説明会にも参加したが、成城学園の生徒のキラキラと輝いている雰囲気は圧倒的だった」という意見をはじめ、多くの「生徒や学校の雰囲気」を評価する声をいただいた。色々な学校を見てまわっている受験生や保護者からの声や反応は、成城学園を客観視できる、数少ない機会のように思う。
「成城学園を知る」…
これだけ長い勤務年数を重ねても、果たして自分は本当に成城学園を知っているのか、知っているような感じになっているだけなのか、あるいは実は何も知らないのか…。「外の世界から成城学園を知ってみたい」と思ったひと時だった。