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2024.06.14
中高校舎の正面、大階段を上がるとメインエントランスがある。
そこには大きなガラス壁が設えられ、その先にある緑がガラス越しに見えるように設計されている。そのエントランスの上にあるオープンな北ブリッジとともに、その奥の緑が“借景”になるというわけだ。
その緑が「100年の森」。この校舎が建つ前、そこには高校の旧第一校舎があった。現在の中高校舎の使用が始まったのが2016年4月。それと同時に、建設工事と並行して使っていた旧第一校舎は解体され、その跡地にはもともと旧高校昼礼場まわりにあった木々が移植された。この旧第一校舎の跡地は、成城学園第2世紀の象徴のひとつとして、次の100年も続く豊かな森に成長してもらうことを願いつつ「100年の森」と名付けられた。今では、成城学園100周年を記念して成城自治会から寄贈された梅の木や、成城幼稚園の園児たちが植えたどんぐりから成長した木々も含め、しっかり根を張っている。
下の写真は、2017年と2018年に撮影した森の様子。当時はまさに「はげ山」で、移植された木々がようやく芽吹き始めた具合だった。すでに枯れてしまった木も数本見られ、これだけの大木の移植の難しさを感じたのをおぼえている。
だが、植物の生命力は強い。7年を経た現在、まさに「緑深い森」へと進化を遂げている。造園業者による手入れも不定期に行われているが、この時期は鮮やかな新緑が生い茂り、メインエントランスから高校クラブハウスに抜ける通路の横では、いつから生え始めたのかドクダミの群生が可憐な花を咲かせている。木々の緑には、癒しの効果や目の負担を和らげる効果もあり、ふと疲れた目や心を癒す空間にもなる。
こんな100年の森だが、教員や生徒の中での認知度は低い。エントランスの裏であることや、教室移動の時にチラっと横を通る程度だからだろうか。ここに昔の高校校舎が建っていたことや、ここに植えられた木が現在の中高校舎の場所にあったものを移植したものであることも、次第に忘れ去られていくのだろう。
この森の中に「けものみち」が出来て、低学年の生徒たちが鬼ごっこをするような空間になればいい。ハンモックなどを設置するのもまた一興。23区内の学校の中で、生徒たちの普段の学校空間の中に、こんな森があるというのも意外と珍しいのではないか。この「森」のこれからを、中高生がどうつくっていくのか、楽しみである。