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  • 2023.11.24

    副校長ブログ「ゆめみる」第14号 『相談コーナー』

学校説明会や文化祭などの際に「相談コーナー」が設けられる。学校の教員と対面で話せる機会である。筆者は入試広報にも関わっていたことがあるが、この相談コーナー対応は自分としては好きな仕事のひとつだ。

来訪する保護者は、1対1なので、具体的な「わが子」を引っ提げて相談に来る。こちらもそのお子さんに近づきつつ、その子にとってこの成城学園が最善の学校なのかどうかを、お話ししながら探っていく。そんなことを副校長が言ったらよくないのかもしれないが、中学受験や高校受験は「一生モノの買い物」。営業トークで受験者を増やせばいいというようなものではない。時には子どもを持つ同じ親として、その子の様子や保護者の願いなども聞きながら、この成城学園の校風や内実とすり合わせていく。今まで関わってきた実際の教え子の顔と重ねながら相談に乗ることもしばしばだ。

先日、文化祭の相談コーナーでおもしろいことがあった。
はじめは高校受験で成城学園を考えている、留学をしたいと考えているのでどんな支援をしてもらえるのか教えて欲しい、と、あるお母様からの相談だった。

「息子は京都の大学に行きたい、と言っているんです。私が京都の出身なので、それもあってか息子も京都が好きで…。」「いいですね~!僕も京都が大好きなんですよ。毎年春休み、京都への一人旅をもう10年近く続けてますよ。」と返した筆者に、お母様の目が輝いた。

歴史の教員でもある筆者は京都・奈良が大好きで、春休みの桜の時期をねらっての、高速バスを使った安旅を毎年楽しみにしている。宿は大阪に取り、京都は基本的に「歩き」でこなす。記憶にある最長は、嵐電の太秦広隆寺で降りて弥勒菩薩像で名高い広隆寺を拝観、徒歩で仁和寺に北上し、龍安寺をまわり、桜の名所の平野神社、北野天満宮、晴明神社をへて京都御所の横を抜け、銀閣寺前から哲学の道を下って南禅寺に出たコースだったろうか。お母様は目を丸くして話を聞いてくれた。たまたま他の相談者がいなかったこともあって、京都愛の強いお母様と京都談義が続いた。

「すみません、時間をとってしまって…。まさか成城学園の相談に来て、こんなに京都の話ができるとは思っていなくって。」と。筆者もさすがに学校の話を…と思ったところで、お母様から…。「あのう、最後の質問なんですが…。京都人が知らない、絶好の観光スポットをひとつ教えてください!(笑)」

学校での説明会にせよ、外部での合同説明会にせよ、わざわざ成城学園のブースに足を運んでくださって、列に並んで順番を待ってまで話を聞こうとしてくれた方には、誠意をもって真摯に向き合うのが礼儀。ときに成城学園の実像も伝えながら、本音で向き合うのが当然だろうと思っている。その本音をこそ、保護者は聞きたいと思っているのだろうと。

さて、ほとんど学校の話をしなかったあの時のお母様だが、成城学園の何を伝えられただろう。成城学園の教員は、画一的で紋切り型の対応はしない、ということぐらいか。でも、それこそが、成城学園の校風の本質だったりする。

そう、お母様には自己紹介がてら、このブログを書いている話をした。「だったら先生、今日の話もブログに書いてくださいよ」と。

これで約束を守った。

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