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  • 2023.07.21

    副校長ブログ「ゆめみる」第8号 『海へ』

7月19日、昨日までの猛暑よりは少し涼しいだろうか。学園の大プールでは中1後班組の「水泳記録会」が行われていた。

成城学園では中1で「海の学校」が行われる。千葉県南房総市で、1年生を前班と後班とに分けて、「ライフセービングのプログラムを取り入れた命の教育」と「海で自分の泳力にあった距離を泳ぐ隊列泳」の2本柱で行われる、3泊4日の行事である。
この「海の学校」の歴史は古く、中2で行われる「山の学校」とともに1950年代から始まった行事らしい。長いこと、千葉・房総半島の富浦町に学園が保有していた「富望荘」で4泊5日、最終目標を「2kmの遠泳」においた行事として受け継がれてきた。
2011年3月の東日本大震災によって、この行事は一時存続の危機に見舞われたが、何とか後世に受け継ごうという教員たちの想いによって、遠泳だけではない浜辺で行う「命の教育」のプログラムを導入しつつ今に至っている。

プールには、「がんばれ~」「しっかり伸びて~」「5、4、3、2、1~」と大きな声が響いている。中学1年生の行事を、高校水泳部ライフセービング部門の部員たちが支えているのだ。中1の生徒と一緒に泳ぐ者、プールサイドから声をかける者、じっと泳ぎを見つめて注意の声掛けに走る者…。高校のライフの生徒たちにとっても、中1の海の学校への参加は一大イベントである。

私がプールに行くと、高校生の数名が声をかけてきた。昨年まで担任した代の高1の生徒たちだ。「声出しすぎてのど痛い~」とぼやきながらも、その直後にはタイムカウントの大きな声を出している。この高1の代は、コロナ禍で「海」の経験がない。それどころか水泳の授業でさえ、中1の2学期のはじめに数回行っただけだった。その子たちが、この「海学」の歴史をしっかり継承しようと頑張ってくれている。なんとうれしいことだろう。

中1の泳ぎを見つめる、プールサイドからの眼差し。高校生の生徒たち、担任、体育科の教員、養護教諭、そしてこのあとにプールに入るグループの生徒たち…。
夏の水面のキラキラとした波の反射のように、成城学園が誇る、美しい光景のひとつだと思う。

※夏休みに入るため、副校長ブログはしばらくお休みさせていただきます。

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