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  • 2023.05.12

    副校長ブログ「ゆめみる」第3号 『残滓』

新型コロナウィルスは5類感染症に分類され、季節性インフルエンザなどと同様の扱いになった。いよいよ2020年2月から日本を席捲したコロナ禍が終わろうとしている。このブログでもコロナ禍のことを話題にすることも少なからずありそうだが、今回は一枚の写真を。

この新学期、各教室に置かれていた「消毒セット」を回収するようにという保健室からのアナウンスがあった。まる3年、お世話になったアルコールスプレーである。

ある時は担任が、机にドアノブに椅子に、廊下のロッカーも消毒した。クラス半数の分散登校時には、一つずつ空けたその日登校していない生徒の座席も「たぶん誰かは触れているよね」と消毒した。学年会室にはアルコールのミニタンクがあり、それが空になると職員室のさらに大きなタンクから補充した。

生徒が「消毒係」を買って出てくれたこともある。コロナ禍2年目のことだった。ふき取る紙を配る者、スプレーして回る者、ゴミ捨てのビニール袋を壁にセットしてくれる者。それらをなんとなく自主的にやってくれていた生徒たちがいた。

そうした消毒はやがて昼食前の時間だけに自分でやることになり、それが、気になった者はそれぞれの判断でやることになり…、ついに「撤収」を迎えた。

「残滓」とは、もう使うことのない、残りかすという意。残りかすとはいいながら、いろんな思いや記憶が詰まった光景である。ある種、感慨深い。

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