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  • 2023.03.09

    【副校長ブログ30】卒業

 3月に入り、心地よい日差しを感じられるようになりなした。本校ではもうすぐ卒業式を迎えますが、巣立っていく生徒たちがどのような時間を過ごしてきたのかを振り返ると、本当にいろいろな出来事があったことを改めて思い出します。
 彼らの3年間は、スタートの時点から全国一斉休校に翻弄されました。簡素な中学卒業式典の後、高校の入学式を実施できない状況下で新年度を迎えます。膨大な量の教材の発送、慣れないZoomを利用したオンライン授業、GoogleClassroomを利用した課題配信など、4月以降は毎日が手探りの連続でした。学習機会の確保だけではなく、まだ会ったことのない生徒とのオンライン面接など、クラス担任の先生方の苦労もそれは大きなものでした。生徒たちの不安も相当なものだったと思いますが、Zoomによるホームルームにも工夫を凝らしながら、新しいクラス作りが始まりました。
 6月になりようやく入学式を実施、その後半数登校などさまざまな授業形態を試行しながら、8月に入って何とか1学期を終えることができました。その後も学校行事やクラブ活動などに多くの制約がある中、社会情勢を注視しつつ学校の日常を取り戻すための模索が続きました。
 今年度は当初より、できる限り普段の学校生活を取り戻すことを第1の目標としてきました。その中で、飛翔祭や文化祭などの大きな学校行事を取り仕切ったのが現高3です。それ以外にも、クラブ活動・委員会活動など、最高学年として関わり、貢献してきた彼らのことを忘れることはできません。3年生には毎年同じことが期待されますが、今年の3年生はとりわけ厳しい条件の下、よくがんばったと思います。彼らには本当に感謝です。卒業おめでとう。

 先月、成城大学に進学する高3生徒とその保護者を対象とするガイダンスがありました。以下はその冒頭で私が話した内容の一部です。

「みなさんは高1から高3まで、段階を踏んで進路決定をしてきました。大学進学に関する情報を集め、周囲からのアドバイスを聴きながら、自分の興味・関心・将来の希望などを考慮してここまで決めてきたはずです。自分の最終判断に迷いはないでしょうか」

「そもそも大学に進学することとは何でしょうか。多くのみなさんにとっては、仕事に就く前の、おそらく最後の教育の場となるでしょう。中学・高校課程が「中等教育」と呼ばれるのに対し、大学は「高等教育」機関と呼ばれ、そこで受ける教育の内容は異なります。基本的に、大学はスキルを身に付けることを目的とする場ではありません。大学では経済や法律など、それぞれの学問分野に於いて、社会で起こるさまざまな事象を捉え、分析し研究します。大学は各分野で必要な考え方やものの見方を身に付け、それを鍛える場だと言えます。そして、大学時代に身に付けた観点や経験の延長線上に、将来自分が就いてみたい職業や大学院への進学、海外への留学など、自分のやりたいことが見えてくる可能性が高い」

「大学生になると、これまで以上に自主性と責任感が求められます。高校までとは違い、細かい所までいちいち面倒を見てはもらえません。また、自由度が高くなる分だけ、自分の行動に自分で責任を取らなければならなくなります。これは社会人にも同じことが言えます」

「そして、大学時代をどう過ごすか。4年という時間は意外と短いものです。時間に余裕のあるこの時期をどう過ごすか、今から考えておくことはとても大事です。私はみなさんに次の4点を伝えたいと思います。

1.おもしろそうなことは何でも挑戦してみる

時間に余裕があるのは大学まで。社会に出たら、やりたいことが見つかっても実際にやってみるのが難しくなります。自分の関心を引くことがあれば、学生のうちに実際にやってみましょう。思わぬ発見があるかもしれません。

2.世界に飛び出す

日本を離れてみると、自分の世界観が変わることを実感できます。大学の留学制度を利用するのも一つの手段だと思います。バックパックを背負って旅をするのもよいでしょう。

3.人間関係の範囲を広げる

いろいろな背景を持つ学生との交流が自分の幅を広げます。同じ学園出身者だけの交友関係に留まらず、新しい出会いを大切にして下さい。そして、高い専門性を持つ大学の先生との出会いが、みなさんの将来に大きく影響するかもしれません。

4.チャンスを逃さない

きっかけを一つ掴むことが次の扉を開き、さらにその次の扉も開くかもしれない。一方、1度逃したチャンスは2度と来ないと思って下さい。人との出会いと同じく、一つ一つの機会を大切にして下さい」

「時代と社会が目まぐるしく変化する中、常に自分をアップデートすることを心がけて下さい。そして、みなさんの隣に座っておられる保護者の方に、ただただ感謝です」

 4月から新しい学校生活がスタートするみなさんに是非お伝えしたいことがあります。それは、自分の次の居場所で、自分がやるべきことに立ち向かってほしいということです。一つ一つのミッション(使命・任務)には、それが与えられた人にとって深い意味があるはずです。いろいろな想いから、多少時間がかかることがあるかもしれません。そのような時こそ、自分を信じて、一歩足を踏み出してみましょう。

 中高体育館の脇ではヤブランに隠れ、フキノトウが咲いていました。いよいよ春の到来です。

 今回をもって、私もこのブログを卒業します。この3年間、拙文にお付き合いいただきありがとうございました。みなさまのこれからのご活躍を心よりお祈り申し上げます。

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