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  • 2023.02.14

    【副校長ブログ29】春はもうすぐ

 本日は早出です。暗がりを職場に向かって移動していると、東の方角から空が少しずつ色づき始めました。マンションの常夜灯や街灯が濃い茜色の中に白く浮かんでいます。そして時々、川面で休んでいるカモや、木立に隠れているシジュウカラの鳴き声が聞こえてきます。凍えるような寒さの中、早朝のワンシーンを楽しむことができました。

 2023年が始まって1か月半が経ちました。成城学園中学校高等学校ではこの3学期から従来の時間割に戻り、始業前の健康観察は生徒が主体的に行う形式に変わりました。体調不良などを理由に欠席する生徒は若干いますが、その対応に振り回されるような事態はなくなり、生徒・教職員ともに落ち着いた毎日を過しています。入学試験を含め、今学期の行事は予定通り実施することができそうです。
 ご存じの通り、先日政府は新型コロナウィルス感染症の扱いについて、今年の5月8日より現在の2類から5類に変更すると発表しました。学校も社会の一部ですのでこの変更の意味するところは大きく、来年度の学校運営もこれを踏まえて計画・実施することになります。この3年間、楽しみにしていた活動にほとんど参加できなかった子どもたちの想いを忘れずに、かつ慎重にリスク回避をしながら、来年度こそは充実した学校生活を取り戻すことができるように願っております。

 最近、かつての教え子から相次いで連絡をもらいました。1人は最後に会ったのがもう5年以上も前、ちょうど新しい仕事に就く直前でした。東京を離れて3年間修業し、その後に独立、現在は別の師匠の下で腕を磨いているとのこと。重い資材を担ぎ上げ、かつ繊細な作業を繰り返し求められる仕事だそうですが、この国の伝統文化の一翼を担っている強い自負心が感じられ、社会人としての風格を感じました。今回、久しぶりに直接会って話を聞くことができましたが、自然に対する豊かな感性と冷静な観察眼、そして芯の強さは高校生の頃と何も変わっていません。これからは伝統を重んじながらも、現代のニーズに合う新風を吹き入れてくれることでしょう。私にとって、本当に良い1年の始まりになりました。
 もう1人、このブログで以前ご紹介した学生からも連絡があり、先週久しぶりに会うことが叶いました。台湾の大学院に進学してはや1年、そろそろ論文執筆の準備に取りかかるとのこと。大学時代の海外留学が例外措置として期間延長できることになり、その後大いに悩んだ結果、就職ではなく進学を選んだそうです。この学生の人となりについては以前にも記しましたが、周囲の人に積極的に相談し、チャンスを逃さずに決断・実行するというその主体的な行動力に改めて驚かされます。この日一緒に来てくれた別の卒業生との気の置けないやり取りを聞きながら思ったのは、毎日学校で起こる出来事ひとつひとつをしっかり受け止め、大切に時間を過ごすことで、いつか飛躍する機会を享受できるのだということです。学生時代に何を学んだか、大人になったらなかなか思い出すことができないかもしれません。しかし、何かに本気で取り組んだという経験や友人・先輩や後輩たちと過した貴重な時間は記憶の中にしっかりと刻まれ、その後の人生の糧になるのだと思います。仲良し2人とのおしゃべりは、気づけば2時間近く経っていました。
 世代もタイプも異なる彼女たちですが、クラス担任として関わることができたことは私個人にとって大きな誇りであり、大切なたからものです。これからもそれぞれの分野で、ひとりひとりが自分らしさを発揮し、活躍してくれることを期待しています。

 冬枯れの100年の森です。高い枝の間をヒヨドリが飛んでいるのが見えますでしょうか。日も暮れ始め、そろそろねぐらへ帰る時間です。

 校舎の横に植えられた白梅がぽつぽつ咲き始めました。これからしばらくの間、香りを楽しめそうですね。

 春はもうすぐ、みなさんのさくらも咲きますように。

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