探究学習を進めるために—高大連携のコラボレーション授業を実施—

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探究学習を進めるために—高大連携のコラボレーション授業を実施—

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  • 2024.05.01

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昨年度から高校で導入・開始した探究学習「探究ゼミナール」。今年度は高校2年生の約8割が履修し、土曜日の3・4時限に実施しています。
昨年度は、自ら課題を設定して探究するという学習方法にまだ慣れていない2年生たちは、最初の課題設定に多くの時間がかかりました。その反省を生かし今年度は、成城大学社会イノベーション学部の青山征彦教授と成城大学の学生に協力を依頼。4週(全8コマ)にわたる大学生とのコラボレーション授業として、課題設定の仕方を学ぶ機会を設けました。4~5人を1チームとし、グループワークを通して学びを進めています。
導入編として、授業全体のガイダンスとチーム分け(チームビルディングとコミュニケーションワーク)を行った第1週に続き、第2週の4月20日は、本格的にプログラムがスタート。3時限目は、成城大学と連携協定を結んでいる公立はこだて未来大学から美馬のゆり教授を迎え、「AI時代の探究学習」というテーマで講演していただきました。美馬教授がコンピュータの世界に興味を持ったきっかけから、何のために勉強をするのか、教科の好き嫌いだけで将来の進路を狭めないことなど、高校生の身近な悩みにも寄り添うお話を聞くことができました。最後に「世の中にはおもしろいことがたくさんあります。いろいろなところに出かけ、広い世界に興味を持つことで、未来を創る人になってください」とメッセージが贈られました。
続いて、aiEDU JAPANの近藤孝樹さんから、4時限目で行うグループワークの内容と目標の説明がありました。「AIとはどんなものか知ろう。AIに関わる問題について議論し、AIへの理解を深めよう」という目標が設定され、議論する際の重要なポイントとして、決して相手を否定せずにすべての考えを尊重することが伝えられました。aiEDU JAPANは、NPO法人「学び足しデザイン工房」における学生主導のプロジェクトです。
そして、4時限目はチームに分かれてグループワークの実践です。aiEDU JAPANが翻訳した教材の中から選んだ「高度な数学の問題をAIが解いてくれる。この技術を導入することの潜在的な利益やリスクは何か」、「あなたは政府の責任者です。労働者そのものをAIに置き換える企業があった場合、それを防ぐべきでしょうか。」という2つの答えのない問いについて、個人で考える(2分)→チームで議論する(10分)→クラス全体で共有する(7~8分)という流れで議論を深めました。生徒たちからは「数学の問題を解かなくていいのは便利だが、先生から教えてもらうということがなくなるとコミュニケーションの力が低下しそう」、「労働力をAIに置き換えれば効率は上がる。でもサービスや接客など人間にしかできない仕事もある」、「AIには気遣いや共感といった感情がない。それは人間の強みになる」といった様々な意見がでました。3時限目で学んだことを実践し、どのチームもチームメイト各々の意見を聞きながら、建設的な議論が行われているようでした。
この日のグループワークで使われたのは、アメリカの非営利団体「The AI Education Project(aiEDU)」が開発した、「AI Snapshots」という教材。この「AI Snapshots」を翻訳して日本各地で授業やワークショップを行っているaiEDU JAPANが、今回のコラボレーション授業を成城大学生とともにサポートしてくれました。aiEDU JAPANは、aiEDUの活動を日本で展開するために始動した学生主導プロジェクトです。コンピュータサイエンスや科学教育、教育工学を専攻する複数の大学の学部生、大学院生、教員ら約20名によって構成されています。また、「学び足しデザイン工房」は、あらゆる人々に科学技術の教育・学習の機会を提供することを目的として活動していて、公立はこだて未来大学、東京理科大学、東京工業大学などの学生がメンバーとして参加しています。他大学の学生とともに高校生をサポートする経験は、成城大学生にとっても良い刺激となっているようです。

第3週、第4週では「これからの社会に必要なアプリを考えてみよう」というテーマで、いよいよ課題設定と解決のための提案をチームごとに行っていく予定です。
今回のコラボレーション授業で、仲間と共に課題解決を目指すという姿勢を学ぶことは、これから1年間の探究学習をより実りあるものとするだけでなく、大学やその先の将来においても、大切な財産になるでしょう。

  • 公立はこだて未来大学 美馬教授
    公立はこだて未来大学 美馬教授

  • 近藤講師よりAIの仕組みについての説明
    近藤講師よりAIの仕組みについての説明

  • 学び足しデザイン工房 aiEDU JAPANのメンバー。いろいろな大学から学生が参加している。
    学び足しデザイン工房 aiEDU JAPANのメンバー。いろいろな大学から学生が参加している。

  • チームに分かれてグループワーク開始
    チームに分かれてグループワーク開始

  • 課題を説明する成城大学生サポーター
    課題を説明する成城大学生サポーター

  • 大学生らが各チームをまわって議論をサポート
    大学生らが各チームをまわって議論をサポート

  • チームで活発に話し合う高校生たち
    チームで活発に話し合う高校生たち

  • 話し合ったことを堂々と発表
    話し合ったことを堂々と発表

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