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  • 2023.10.27

    副校長ブログ「ゆめみる」第12号 『秋の声』

この頃、急に寒くなった。

不思議なもので、この夏あんなに朝の最高気温予想が憎らしかったはずなのに、酷暑の肌感を忘れてしまっている自分がいる。忘れっぽいというべきか適応能力というべきか…。

中高校舎の大階段をあがった先のメインエントランスの前に、天然芝の庭がある。「エントランス広場」と名付けてはみたものの、それこそ夏の光景はすさまじい。雑草が茫々と生い茂り、広場も何もあったもんじゃない。足を踏み入れることにも躊躇するほどだ。
先日、以前ブログで紹介したヘビの対応をしてくれた同僚の職員が、「そろそろ文化祭が近いので草刈りをするんですよ。虫の声が聞こえるのも今のうちですよ。」と声をかけてくれた。

虫の声かぁ…。

放課後、生徒が三々五々部活へと散っていくと、校舎は驚くほど静かになる。そうなると、西棟と東棟に挟まれたこのエントランス広場は、虫たちのコンサート広場になる。おそらくはエンマコオロギだと思うが、その鳴き声の合唱が始まるのだ。

この校舎をつくる時、この芝を人工芝にするか天然芝にするかで、建築サイドで議論があったが、設計屋は天然芝を押してくれた。管理は大変だが季節が感じられていい、と。当時は「いちいちカネがかかるだろうに…」と思ったが、今になって思うとこれが人工芝じゃたしかに味気ない。

春には花が咲き、夏は草が生い茂りタンポポの種が飛び、秋は虫が鳴き、冬は凍りついた土が顔を出す殺風景な空間になる。うちの学校の元気な生徒たちはそんな変化を気にもとめないで過ごしているが、エントランス広場が奏でる秋の声に気付く生徒がちょっとぐらいはいて欲しい。





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