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  • 2023.09.29

    副校長ブログ「ゆめみる」第10号 『まつりのあと』

成城学園中高では秋に飛翔祭と呼ばれる体育祭がある。中高6学年を7色の縦割りにしてチームを決め、色別に競い合う。今年は「オレンジ」が僅差で「レッド」を破り、総合優勝を果たした。

2枚の写真がある。

飛翔祭の前夜、帰りがけにグラウンドを撮影した。飛翔祭は生徒から選出される飛翔祭実行委員、体育委員、そして各色の応援団幹部ら多くの生徒たちの手によってつくられている。この時、遅くまで応援団の生徒たちが翌日のオープニングの練習をしていた。人工芝の広大なグラウンド、緑を照らす照明、そこに流れるボリューム小さめのリハーサルの音声。
学生時代の行事というものは、本番はもちろんだが、その準備の時にこそ多くの思い出がつくられる。7色のテント、それを照らす光、そして月明かり。そんな中で、翌日の準備をする幹部の生徒たちのワクワク感、不安感、満足感はいかばかりだろう。気の許せる仲間同士と秋の夜の空気を共有する、そんな時代に帰りたいと思うのは筆者だけではないだろう。

翻って、もう一枚。飛翔祭実行委員長の時折声を詰まらせた温かい挨拶が終わって、三々五々担任がクラス写真を撮ったり、卒業アルバム用の集合写真を撮ったり。生徒たちの胸には、渦巻く悔しさと、さわやかな解放感が同居する。そんな彼らはなかなかグラウンドを去ろうとしない。
成城学園の生徒はみんな素直だなぁ、と思う。斜に構えて不貞腐れる者も、壇上の人間の話も聞かずに勝手なことをする者も、少なくとも私の目には映らなかった。もう成年に達している高3の生徒が、結果に大はしゃぎし、嗚咽しながら大粒の涙を流す。こんな生徒たちと共有する時間は、何と幸せなことだろうと思う。

2学期は行事が次から次へとやってくる。行事の合間に勉強し、定期テストもこなさなければならない。それでも生徒たちは、毎年この学期を駆け抜けていく。飛翔祭はそのスタートだ。

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