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  • 2023.09.15

    副校長ブログ「ゆめみる」第9号 『全班登頂』

この夏、中2で行う「山の学校」が、4年ぶりに予定通り実施された。成城学園で実施している山の学校は、「海の学校」とともに70年の歴史を持つ伝統行事である。中学2年生が北アルプスの名峰への登山に挑む。

槍ケ岳(3180m)班は、中房温泉から燕岳(2763m)を経て、表銀座と呼ばれるコースを縦走、東鎌尾根を踏破して槍ケ岳にアタックし、上高地に下山する4泊5日の行程。燕岳班はその行程の一部、燕岳に登頂したのち、中房温泉へともどる。白馬岳(2932m)班は小谷村の栂池から白馬乗鞍岳(2469m)を経て、白馬岳に登頂、同じコースを下山する。登山口となる栂池には1935年に成城学園が建てた太極荘という山小屋がある。唐松岳(2696m)班はゴンドラとリフトを乗り継ぎ、八方池を経由して唐松岳登頂を目指す。それぞれ、登山愛好者には人気の名峰である。

手元にコロナ禍前、2019年度の山の学校の記録がある。槍ケ岳班は3班のうち1班が天候不良のため登頂を断念し、水俣乗越から槍沢に下っている。白馬班も3班のうち2班が風雨のため登頂を中止し、唐松岳登山へと切り替えている。その唐松岳班も2班のうち1班が強風のため途中の扇雪渓で撤退を決めた。

生徒の安全を第一に、また猛威を振るう自然の厳しさを知るということもひとつの目的なため、すべての班が、すべて予定通りに実施されたことはこれまであまり記憶にない。まだまだ予断を許さないとはいえコロナ禍が明けて4年ぶりにまともに実施された山の学校、天気の神様も味方してくれ、4コースのすべての班が、まさしく「頂」を制覇するという、希少な成果を得て終えることができた。

中学2年生という多感な時期に、こんな体験をする中学生は全国に何人いるだろう。
筆者もかれこれ30年前、この学校に就職して初めて本格的な登山を経験し、槍ヶ岳に登頂した。槍岳山荘の前で、夕陽を浴びて真っ赤に焼ける槍の穂先を眼前に好きな女の子に告白を決めた男子の背中を見送ったことを、つい昨日のように覚えている。

貴重な体験が、大きな勇気を与えてくれたことは間違いない。

白馬岳頂上へ
白馬岳頂上へ

  • 白馬岳の遠景
    白馬岳の遠景

  • 燕岳より槍ケ岳を望む
    燕岳より槍ケ岳を望む

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