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  • 2020.04.08

    中村校長より中学校新1年生のみなさんへ

入学式の式典は延期になってしまいましたが、中村校長から新入生の皆さんへメッセージがあります。

中学校 新1年生のみなさんへ
 入学おめでとうございます。
 何とかしてみなさんに会う機会を作れないかと、この一ヶ月間、本当にあれこれ考えました。たとえば1500人入れる記念講堂に中1のみなさんと私たち教職員だけが出席する入学式や、広い体育館のメインアリーナに1クラス分だけが入ったガイダンスなどを、何度も何度も計画しなおしてみましたが、結局、現時点では延期ということになってしまいました。とても残念なのですが、少し待つことにしましょう。
 学校では、きれいに掃除した教室や、理科の実験で使う花々や、新しい教科書などがみんなを待っています。そして、一番、皆さんのことを待っているのは、担任の先生たちです。
 さて、ふと考えると、「待つ」っていうのには三つの種類があるように思います。
 一つ目は、予定が決まっていることを待つ。
 二つ目は、予定は決まっていないけど、必ず起こることを待つ。
 三つ目は、予定も決まっていないし、起こるか起こらないかはわからない、ある意味、偶然を待つ。
 たとえば、テレビ番組は、待っていれば時間どおりに放送されます。また、電車やバスは、時々、時刻表通りに来ないこともありますが、それでも、待っていて無駄になることはほとんどありません。まあ、待てばいいということです。これが一つ目の「待つ」です。
 次に、新しい傘を買った後、「今度、雨が降ったらさしてみよう」なんていうのが二つ目の「待つ」です。そう言えば、人が成長していくのを待つのもこの二つ目の「待つ」なのかもしれません。もちろん、カレンダーの日付に従って、一年生は二年生に、中学生は高校生になっていきますから、それだけ見れば一つ目の「待つ」のように思えます。でも、同じ一年生と言っても、考え方や気持ちの成長には個人差があります。さらに、経験することも違いますから、一日一日の中で色々な失敗をして先生や親を困らせてしまうことだってあります。そんな時、大人たちは、いろんなことを言うでしょう。そして、みんなが少し変わることを期待し、この積み重ねの中で大人になっていくのを待っている。育てるって待つことだと思います。
 最後の三つ目の待つは、魚釣りのようなものです。深い海の底に、いるのか、いないのかがわからない魚がかかるのを、じーっと待っている。いつまで待ってもうまくいかないこともあります。何回やってもダメかもしれません。こういう「待つ」を、もしかしたら挑戦というのかもしれません。ただ、この三つ目の「待つ」を重ねる努力をすると、偶然が少しずつ変化していくことがあります。1000回に1回しかうまくいかなかったものが、何度もやれば、10回に1回ぐらいはうまく行くようになったりします。
 「待つ」というと、ついつい何もしないことのように思ってしまいがちなのですが、待つことを楽しんだり、待つなかで学んだり、待ちながら見守ったり、いろんな待つがあることに気づくことができます。よっぽどしっかりした人間じゃないと、「待つ」を楽しむことはできないのですが、みなさん、頑張って待っていてください。私たちも待っています。くりかえしになりますが、入学、おめでとう。

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