読書科研究部

読書科が大切にしていること

本を読むことは、心を耕すことそのものだと、私たちは考えています。それは大人だけでなく、子どもにとっても同じです。特に、まだ自分の思いや考えをうまく言葉にしきれない子どもにとって、読書は大切な内的体験の時間になります。

物語の登場人物と出会い、知らない世界を旅し、自分とは違う考え方に触れる。ページをめくるという静かな行為の中で、子どもは自分の気持ちを確かめたり、整理したりしていることがあります。

図書のへやで、なんとなく本を手に取り、しばらく読んで、また別の本へ移っていく——
そんな姿を見たことはないでしょうか。

その時間は、「読む力」を高める時間であると同時に、自分の関心や願いに出会っている時間でもあります。

このように子どもたちの姿を見ていると、読み終えた後だけでなく、本を探す時間、
読み進める途中の迷い、ページを戻るしぐさの中にも、その子なりの思考や感情の動きが確かに存在していることに気づかされます。

それはまるで、本を通して自分自身と対話しているようにも見えます。

こうした実践や研究を重ねる中で、
私たちは

「子どもはいつも、読みたい理由を持っている」

という子ども像にたどり着きました。
読む本を選ぶこと、読む速さ、繰り返し読むこと——その一つ一つに、子どもなりの必然性があります。

このような考えのもと、私たちは次のことを大切にしています

・大人の価値観を押し付けないこと

どの本がよいか、どれだけ読めばよいかを、一律に決めることはしません。読書の入り口は、「なんとなくおもしろそう」という感覚から始まることも多いからです。
その感覚を尊重することが、長く続く読書生活の土台になると考えています。

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・共有が生まれる場をつくること ~人を知ることで、自分を知る~

読書は個の営みでありながら、他者とのつながりも生み出します。友だちの紹介で本を手に取ったり、感想を聞いて読みたくなったりする経験は、読書の世界を広げていきます。

授業や日常の中で、本の紹介や読み聞かせの機会を設け、読書経験がゆるやかに交流する場を大切にしています。

・読む時間は、内的対話の連続であること

登場人物の気持ちを想像したり、自分だったらどうするかと考えたりする中で、子どもは自分の感じ方に出会っていきます。本の世界を追体験することは、自分自身を見つめることにもつながります。

・読書環境そのものを大切にすること

図書のへやという空間、本との出会い方、本を探す時間——それらすべてが読書経験を支える要素です。場所と時間と本とが保障されたとき、子どもは自ら学びを深めていきます。

読書科の位置づけ

本校の読書科は、綜合教育の一領域として位置づけられ、国語科・文学科と有機的に関わりながらも、どの教科にも属さない独自の役割を担っています。

多くの時間は自由読書によって構成され、子どもは自分の能力や興味に応じて本を選びます。

その中で、

・本の世界を追体験すること
・多様な知識や考え方に触れること
・読書への関心を深めること

が、ゆるやかに育まれていきます。

読書科全体として、子ども一人ひとりを支える

このように本校では、
読書を「学習活動の一部」としてだけでなく、
子どもの生活全体を豊かにする営みとして捉えています。

読書ノートによる振り返り、推薦図書の紹介、図書室運営の工夫など、読書生活を支える取り組みも重ねてきました。

読書科全体として関わることで、それぞれ異なる関心や歩みを持つ子どもが、安心して本と出会い続けられる場になると考えています。

2025年度研究テーマ:内面の豊かさを育てる読書科の授業の創造

本校の共通研究主題である「内面の豊かさ」は、読書科においても二つの側面から捉えられます。

① 自分に関する「内面の豊かさ」

本の世界に入り込み、登場人物の思いや出来事を追体験する中で、子どもは自分の感じ方や価値観に気づいていきます。

「この人の気持ち、わかる気がする」
「こんな考え方もあるんだ」

そうした気づきの積み重ねが、自己理解を深めていきます。

② 他者に向けられる「内面の豊かさ」

同じ本を読んでも、感じ方は一人ひとり異なります。

感想を共有し合う中で、子どもは自分とは違う読み方に出会います。

その経験は、他者理解を深めると同時に、自分の感じ方を見つめ直す契機にもなります。


教師の役割

教師は、本と子どもを結び、子ども同士の読書経験をつなぐ存在です。

読みを方向づけすぎることなく、しかし必要なときにはそっと支える——そのような関わりを大切にしながら、子どもと本との関係を育んでいきたいと考えています。