研究方針
本校には、身体を使って自由に表現できる教科「舞踊」がある。文部科学省の定める学習指導要領では、体育の一領域として「表現リズム遊び」と「表現運動」を学習することが示されているが、本校の舞踊科は表現教育を重視した芸術と位置づけている。なぜなら、本校の舞踊科は本学創設者である澤柳政太郎が掲げた希望理想の4綱領の内、1)個性尊重の教育と3)心情の教育を重要視し、更に「情操の教育」に属しているからである。
このように舞踊科は芸術であり動作および身体表現の教科として本校独自の教育といえる。
舞踊ということばを英訳すると“Dance”が一般的だが、本校では“Body Expression”と表記している。本校の舞踊科は、身体を通して表現をする楽しさを知る時間であり、様々な身体の動きや感情を知り、経験を重ねることで表現を深めていく。表現はひとりで行うものからグループで行うものまで多岐にわたり、型にはまった表現や決められた振り付けを踊ることよりも、その瞬間に感じたままに動くことを最も大切にしている。それには心を解放することが重要であり、そのときの気分や感情によって変化する表現を思いのまま楽しめるようになることを目指している。
きれいに舞うことを目指すよりも前に、まず心を解放して表現を楽しむことを目指す。その上で見栄えの美しさを意識する子どもがいたら、それを妨げることはしない。大いに意識して表現してもらいたいと考えている。
心の解放とは・・・
子どもが人目を気にせずに思うがままに非現実的な世界や自分以外の者(物)になりきって、その時の気分や想像を膨らませながら身体で表現する様を、心が解放された状態と捉えている。動きが小さく遅い、音楽に乗れない、表情やアイディアが薄い子は心が解放されていないと推測する。それらの要因は、見られることの恥ずかしさだけでなく、友達との意見の食い違い、間違えると怒られると思っていることなど様々である。
心の解放にはクラス全体の雰囲気や子ども同士の関係も深く関わっているため、個別に解決を図るだけでなく、クラス全体に向けて様々な角度から手立てを講じることで、最終的に全員が心を解放できるように促している。
心が解放されると、動きの幅は大きくなり、リズムに乗って自然と身体が動くようになる。表情やアイディアも豊かになり、「もう1回やりたい!」「もっと時間が欲しい」「はやく発表したい」と声が上がるようになっていく。
そうして心を解放して舞踊表現を楽しむことを経験していくことで子どもたちは自分自身の気持ちに目を向けることができるようになり、友だちと真の気持ちを伝え合うことができる。
2025年度研究テーマ:内面の豊かさを育てる舞踊科の授業の創造
舞踊科では、これまでも大切にしてきたことを改めて見直し、更に心を開放して身体で表現する時間や空間を楽しみ、色々なものに想像を巡らせ想像したものを身体を通して思うがままに表現してもらえる環境づくりを心がけている。特に「正解」「合否」「評価」などにとらわれず、自由に表現してよい、心を解放してよいと思える場の設定と言葉かけをしている。
友達と関わり合う活動や発表の場面では表現の受け取り手に思いを巡らせ、思いやりのある表現を心掛け、自分とは違う他者のアイディアにも尊重する気持ちが持てるようにしている。
舞踊の時間こそがここにしかない成城独自の心を育てる教育の象徴となるよう努めていく。