研究方針
~主体的に、意欲的に~
英語研究部は、「本当に使える英語の習得」のため、近年、「プログラム型・プロジェクト型学習融合カリキュラム」(PPカリキュラム)の開発に取り組んでいます。このカリキュラムによる学習の目標は、「基礎・基本を習得し、自分の思いや考えを相手に分かるように伝えることができる」ようになることです。「本当に使える英語の習得」を目指すならば、実際に学習した英語がどのような場面で、どのように使われるのか経験的に学ぶ必要があります。では、子ども達は、実際にどのように英語を学習しているのでしょう。英語の学習は単元ごとに最終のゴールとなるプロジェクトが設定されています。このプロジェクトでは、児童の興味や関心、そして学年に合った英語のレベルでテーマが決められており、そのテーマに沿って、子ども達が自分の思いや考えを発表することが求められます。例えば、「夏休みの思い出を伝えよう」というプロジェクトが課された場合、子ども達は、夏休みの思い出の写真を貼ったポスターを作成し、思い出についてスピーチをすることがゴールとなります。しかし、ここで子ども達は、「前にしたことってどうやって英語で言うの?」「自分がしたことって英語で言うとどうなるんだろう?」という疑問に出会います。この疑問は当然で、何の準備もなしに、英語でスピーチはできません。ここで、プログラム型の学習の登場です。プログラム型の学習は、いわゆる教科書ベースの学習であり、反復練習や暗記等と言った活動になります。語彙や表現といった基礎・基本を学ぶわけです。先ほどの例でいうと、前にしたことを表現する「過去形」、そして夏休みならではの活動を表現する「語彙」を学習し、身につける必要があります。このように基礎・基本を身につけたうえで、プロジェクトの発表へと学習を進めていくわけです。プロジェクト型の学習では、単元のはじめに目指すゴールを子ども達と共有します。そのため、子ども達は、そのゴールを達成するために、どうすればよいのか、何が必要かを考えます。そこで、これからの学習の見通しを持つことができるのです。ゴールを理解すること、そして見通しを持つことで、1時間ごとの授業で、なぜ今、この学習をしているのかが理解でき、プログラム型学習で反復練習や暗記等といった活動でも、その活動に意味を見出すことができるのです。やらされているのではなく、ゴールが見えているからこそ、主体的に、そして意欲的に学習に取り組むことができるのだと考えています。
2025年度研究テーマ:内面の豊かさを育てる英語科の授業の創造
豊かであるということは、「個人や社会が良い状態である」ということである。現代では、心の豊かさや幸福を重視する社会が望ましいとの価値観が、世界で広がっている。そのため、客観的に数値で測れるような「物質的な豊かさ」ではなく、一人ひとりが主観的に「実感できる豊かさ」が重要視されている。
教育機関において子どもの「豊かさ」とは、学力テストなどで計測できる認知的スキル以外の、数値化することが難しい心の動き(社会情動的スキルいわゆる非認知能力)を育成することである。
本校英語科では、子ども達が「内面の豊かさ」を育むためには、社会情動的スキルいわゆる非認知能力を育むことが重要であると考えている。OECDの研究によると、次のような社会情動的スキルを育むことが「内面の豊かさ」を生みだすことが分かっている。(表1参照)
(表1)「OECDの社会情動的スキル (Social and Emotional Skills =SESS)」
学力テストなどではなく数値化できないようなスキルのこと
〇 目標の達成 Task Performance (責任感、自己抑制)
〇 感情のコントロール Emotional Regulation (楽観性、ストレス耐性)
〇 協働性 Collaboration (共感性、協調性)
本校英語科では、これらOECDが示す「内面の豊かさ」を育むための社会情動的スキルをPPカリキュラム内で、どの単元でどのように育むことができるのか、「子どもたちの内面の豊かさを感じられる具体的な姿」から次のように考えた。
2025年度研究テーマ:
学力テストなどではなく数値化できないようなスキルのこと
〇 目標の達成 Task Performance (責任感、自己抑制)
〇 感情のコントロール Emotional Regulation (楽観性、ストレス耐性)
〇 協働性 Collaboration (共感性、協調性)
(1)自分に関すること
| A 学びや活動に前向きに取り組もうとする姿勢 | B 困難に直面しても諦めず挑戦し続ける力 | C 衝動や感情をコントロールし、冷静に対応する力 | D 自分の価値を認め、自信を持つ感覚 | E役割や約束を果たそうとする態度 |
| 意欲 動機づけ |
粘り強さ 忍耐力 レジリエンス |
自制心 感情調整力 |
自己肯定感 | 責任感 |
(2)相手や他者に向けられること(他者との関わりが前提となるもの)
| A 集団の中で協力し、ルールや役割を守る力 | B 他者の気持ちを理解し、寄り添う力 | C 文化や価値観の違いを受け入れる姿勢 |
| 社交性 | 共感性 思いやり | 多様性の理解・尊重 |
(3)学びの内容に対すること
| A 新しい知識や経験を求める姿勢 | B 新しいアイデアや表現を生み出す力 |
| 探究心 好奇心 | 創造性 |
PPカリキュラムとの関係性
プロジェクト型の英語学習では、児童が目的意識をもって英語を使いながら、自ら考え、判断し、表現する学習過程が重視される。このような学習は、英語の知識・技能の定着にとどまらず、好奇心、責任、社会性、協働性、粘り強さといった非認知能力の育成にも寄与するとされている。これらの力は、OECDが提唱する社会情動的スキル(Social and Emotional Skills:SESS)とも高い親和性をもつ。
(大正末期)アルシーア・ブリッジス先生の英語の授業


