国語科が大切にしていること
言葉は、子どもが世界と出会い、他者と関わり、そして自分自身を形づくっていくための根幹となるものです。
私たちは、言葉を単なる知識や技能としてではなく、意味を生み出し、思いを確かめていく営みそのものとして捉えています。
文章を読むとき、子どもはただ内容を理解しているのではありません。
「どうしてこの言葉なのだろう」
「この人物はどんな気持ちなのだろう」
と立ち止まりながら、言葉の奥にある思いや背景に触れようとしています。
授業の中で私たちが大切にしているのは、そうした子どもの「読みの実相」を丁寧に見取ることです。
どこで迷い、どこで気づき、どのような言葉で考えを表そうとするのか。
その過程を観察し、問いを手渡し、学びが深まるよう働きかけていきます。
子どもたちが交わす、
「前に読んだお話と似ている」
「この書き方は前に学んだ説明文とつながる」
といった発言には、言葉の学びが子どもの中で結びつき始めている様子が表れています。
こうした声を拾い上げ、学びの積み重なりを価値づけていくことも、国語科の大切な役割です。
このような考えのもと、私たちは次のことを大切にしています。
・子どもの読みを出発点にすること
教材の論理だけでなく、子どもがどこで立ち止まるのかを手がかりに授業を構想します。
・問いが生まれる場をつくること
発問や板書、対話の構造を通して、子どもが「考えてみたい」と思える契機を育てます。
・言葉を往還的に育てること
「読む」「書く」「話す」「聞く」を切り分けず、単元の中で行き来しながら指導します。
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・学びのつながりを自覚できるようにすること
掲示や記録を通して、これまでの言葉の学びが振り返られる環境を整えます。
・相手意識・目的意識を育てること
言葉の先には常に他者がいることを意識し、伝え方・受け止め方を考えます。
国語科の学びの構造
本校では、言葉に関わる教科として
「国語科」「文学科」「読書科」が独立して位置づいています。
文学科が作品鑑賞や創作を通して情操的側面を、
読書科が読書経験の広がりを担うのに対し、
国語科は言葉を扱う技術・技能の側面から学びを支えます。
授業では、
・根拠
・理由
・主張
の関係を整理しながら、自分の考えを言葉として組み立て、相手に伝わる形に整えていきます。
また、ICTを活用する場面を持ちながらも、手で書くことの価値を重視しています。
ノートに言葉を書き留める時間は、思考を深め、自分の考えを確かめる大切な過程となるからです。
2025年度研究テーマ:内面の豊かさを育てる国語科の授業の創造
本校の共通研究主題を踏まえ、国語科では「内面の豊かさ」を、読むこと・書くこと・語ることの往還の中で育つものとして捉えています。
子どもが言葉と出会い、言葉を通して自己や他者に向き合う過程に着目し、授業研究を進めています。
① 自分に関する「内面の豊かさ」
文章を読みながら、登場人物の心情に重ねて自分の経験を思い起こしたり、
表現の違いに違和感や面白さを感じたりする姿があります。
「どうしてこの言い方なのだろう」
「自分ならどう感じるだろう」
と考える時間は、子どもが自分自身の感じ方や考え方に気づいていく時間でもあります。
また、ノートに言葉を書き留めたり、自分の考えをまとめ直したりする行為の中で、
思考が整理され、内面が確かめられていきます。
こうした、言葉を通して自己に向き合う過程そのものを、
私たちは「自己に向かう内面の豊かさ」と捉えています。
教師は、子どもの感じたことをすぐに評価するのではなく、
「どこからそう思ったの?」
「どの言葉が気になった?」
と問い返しながら、その子なりの読みを支えていきます。
② 相手や他者に向けられる「内面の豊かさ」
国語の学びは、一人で完結するものではありません。
読み取ったことや考えたことを語り合う中で、子どもは自分とは異なる感じ方や見方に出会います。
「そういう考えもあるんだ」
「私は少し違って感じた」
といったやりとりを通して、言葉の意味はさらに広がっていきます。
相手に伝わるように語ろうとすること、
相手の言葉を受け止めようとすること、
その往還の中で、他者理解と対話の力が育っていきます。
安心して語り合える関係性があってこそ、
子どもは自分の言葉を差し出し、他者の言葉を受け取ることができます。
教師は、対話の方向を定めるのではなく、
多様な読みや考えが共存できる場を整え、
言葉と思いが行き交う教室を支えていきたいと考えています。