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  • 2026.10.20

    手作り楽器「カシシ」作りに挑戦 -年中組造形活動-

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 10月5日(月)、年中組で彫刻家の高橋智力先生による造形活動をおこないました。この日の造形活動では、振るとシャカシャカと音が鳴る南米の楽器「カシシ」作りに挑戦しました。
 まずは、ペットボトルの中に「セラミス」という小さな土の粒を入れていきます。「紙コップに入った土を、こぼさずにペットボトルへ移すにはどうしたらいいかな?」先生からの問いかけに、子どもたちからアイデアが次々と飛び出しました。「キャップを使ってみたら?」「紙に乗せてから入れてみるのは?」と試行錯誤しましたが、クルっとまるめた紙をじょうごのようにペットボトルの口に当てるとうまくいきました。キャップを閉めて勢いよく振ると、シャカシャカと心地よい音が鳴ります。
 次に、アクリル絵の具でペットボトルの上半分とキャップを塗っていきます。「下まで塗らないで、上だけ塗ってみようね」みんなそれぞれとても上手に筆を使って塗りました。
 絵の具を塗り終えたら、次は様々な色の短冊状の色画用紙から好きな色を3枚選びます。「2枚はお洋服、1枚は顔になるよ。まずは洋服になる2枚を選んで、ハサミで切り込みを入れてみます」。端まで切り落とさないように慎重にハサミを進める、少し細かい作業ですが、子どもたちは繊細な動きで指先を上手に使って、あっという間にお洋服を完成させました。ボンドをちょんちょんと丁寧に綿棒で紙につけて、ペットボトルに巻き付けていきます。3枚とも貼り付けたら、最後に白と黒のシールで顔のパーツを作りました。「目ができたら、今度は口や鼻、髪の毛も付けてみよう」。顔や髪の毛だけでなく、羽や飾りなどの可愛らしい装飾もつけて自分だけのカシシを完成させました。
 「立体に絵の具を塗る」「ハサミで紙を切る」「ボンドで紙を立体物に貼る」。たくさんの工程を経て、一人ひとり違う表情の素敵な作品を完成させました。お顔がつくと作品が一気に愛らしくなり、子どもたちの表情もパッと明るくなりました。お友達と「見てみて!」と見せ合ったり、うれしそうに先生に見せに行ったりと、時間いっぱいまで夢中で作品づくりに楽しみながら取り組む姿が印象的でした。

  • じょうごのように紙をクルっとまるめて土をペットボトルへ
    じょうごのように紙をクルっとまるめて土をペットボトルへ

  • さっそくできた手作りカシシをシャカシャカ振ります
    さっそくできた手作りカシシをシャカシャカ振ります

ペットボトルの上のほうにアクリル絵の具で色を塗ります

  • 短冊状の色画用紙を3色選びます
    短冊状の色画用紙を3色選びます

  • 慎重にハサミを使って切り込みを入れます
    慎重にハサミを使って切り込みを入れます

  • 画用紙に先生の見本どおり少しずつボンドをつけていきます
    画用紙に先生の見本どおり少しずつボンドをつけていきます

  • ペットボトルにクルっと巻き付けて…
    ペットボトルにクルっと巻き付けて…

目や口などのパーツをつけてお顔ができると…

  • 子どもたちの顔もパッと明るくなりました
    子どもたちの顔もパッと明るくなりました

  • お友達と作品をお互い見せ合う姿も
    お友達と作品をお互い見せ合う姿も

ともりき先生よりひとこと
自らの手で生み出す、音と表情の世界

今回の造形活動では、「カシシ」というアフリカを起源にもつブラジル伝統楽器の制作に取り組みました。身近な素材から音を生み出すその姿には、人々が古くから重ねてきた、工夫すること、つくること、そして音を楽しむことへの喜びが感じられます。
一方で芸術の面白さのひとつは、私たちの日常や社会と、さまざまな接点を見いだせることにあります。つくりてが、こうした接点をどこに求めるかによって、鑑賞する人々にとって見慣れたもののはずの物や事象に新たな視点が生まれ、思いがけない美しさや楽しさを発見することができます。
今回は、子どもたちにとって身近な「音」や「遊び」を入口に、自らの手で楽器を生み出す喜びを味わってもらいました。
普段は与えられることの多い楽器やおもちゃも、自分たちの手でつくることができる。
その発見は、身の回りの世界との関わり方を、少し豊かにしてくれるものだと思います。
制作を進めていく中盤には、子ども達にとって、もうひとつの印象的な瞬間が訪れます。
それは、作品に「目」を入れるとき。
それまで色や形の組み合わせであったものが、目を与えられた途端、まるで命を宿したかのように、それぞれ固有の表情を見せ、作者である子ども達との対話が一気に加速し始めます。平面から立体が立ち上がる瞬間にも似た、造形ならではのドラマチックな変化です。子どもたちは、自分の手によって作品が新たな存在へと変わっていく、その不思議な面白さに自然と笑顔が咲きます。
今回の活動には、テクニカル的な側面からの大切にしたねらいもあります。
それは、「あいまいさ」の中で、自ら判断すること。
絵の具をどこまで塗るのか。
切り込みをどのくらいの深さや幅で入れるのか。
のりをどの程度つけるのか。
制作の過程には、明確な数値や正解だけでは決められない、小さな選択が幾度となく現れます。
もちろん、必要な助言や手助けは行います。しかし、その微妙なさじ加減や「ここまででよい」と決める最後の判断は、できる限り子どもたち自身に委ねました。
こうした判断は、大人が考えるほど簡単なものではありません。
けれども子どもたちは、素材の感触や形の変化を確かめながら、一つひとつの選択を見事に積み重ね、それぞれの作品を完成へと導いてくれました。
自分で考え、自分で決め、その結果を自分の作品として受け止めること。
その積み重ねは、造形活動の中で育んでいきたい、大切な力のひとつです。
完成したカシシには、色彩や形の違いだけでなく、制作の過程で重ねられた一人ひとりの判断や工夫が息づいています。

お子さまが制作に向き合っていたときの横顔や、小さな手先の動きを思い浮かべながら、思い思いの表情をまとったカシシたちとの出会いを、ぜひお楽しみください。

(造形活動講師・高橋智力)

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