幼稚園生活

2025.11.06
10月28日(月)、年長組で造形活動をおこないました。講師は、本園で造形の時間を担当いただいている彫刻家の高橋智力先生です。
今回の造形活動では、最初に立方体の発泡スチロールが登場しました。「この四角は智力先生が用意したもの。たくさん集めた枝を使って、自然の力を借りてこの四角を地面から浮かせてみよう」。先生が園児たちと一緒に発泡スチロールに枝を1本、2本と刺していきます。3本、4本と刺していくと、枝が足となり地面から立方体が浮きあがりました。「みんなも好きなところに枝を刺して浮かせてみよう」。
最初は枝選び。学園内を散歩しながら集めた枝の中から、5本ほど好きな枝を各自が選び、作品作りスタートです。1本ずつ丁寧に差し、1本増えるごとに宙に浮くか確認する作業を続けます。苦戦しながら何本も枝を使って、やっと発泡スチロールが宙に浮いた瞬間、パッと笑顔になる子どもたち。「立った!」「先生見て!」とあちこちから歓声が挙がりました。
後半は、宙に浮いた四角い発泡スチロールとそこに刺した枝に、絵の具で色を塗っていきます。「混ぜるときは隣の友達と混ぜてもいいか相談して、一緒に絵の具を使ってね」。先生のアドバイスを聞いて、筆を使って慎重に丁寧に作品に色を塗っていきます。力強い作品や繊細な作品、子どもたちの個性が溢れる素敵な作品が完成しました。
面白い形の枝、太い枝、細い枝、まっすぐな枝。
枝選びから個性が光ります
刺す場所、角度を良く考えながら1本1本刺していきます
すぐ制作にとりかかる子、ちょっと考えてから始める子、作品の進め方もさまざま
立方体が宙に浮くとみんな笑顔に!
宙に浮かせるだけでなく、装飾を加えていきます
後半は絵の具で色を付けています
作品を壊さなように慎重に色を塗っていきます
色を塗るとまた表情が変わる作品たち
細かいところも色を塗っていきます
ともりき先生よりひとこと
「きとしかくのうた」
木の枝は、自然の環境に適応しながら伸びてきた生命の形です。その不規則な曲線には、自然の厳しさと生きる力が刻まれています。
一方で、発泡スチロールの立方体は、人間の手による人工物。正確で安定した構造の美しさをもっています。
この活動では、自然の形と人工の形を組み合わせ、空間の中に新しい構成を生み出す面白さを探りました。
どの角度に立てるか、どの枝を選ぶか。
子どもたちは試行錯誤を重ね、自分なりの“かたちの詩”を完成させました。
また、自然の上に人間のつくる世界が存在していることに気づき、子ども達にとって当たり前になっているであろう身近な環境への関心を深めることもねらいとしました。
(造形活動講師・高橋智力)