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  • 2022.03.23

    色画用紙とハサミとのりを使った形あそび — 年長組造形活動 —

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 3月14日(月)、年長組の造形活動を行いました。講師はこれまでもご担当いただいている彫刻家の高橋智力先生です。
 今回は2色の色画用紙と、ハサミとのりを使った作品作りをしました。最初に好きな色の組み合わせで色画用紙を2枚選びます。そのうちの1枚をはさみで切り抜いていきます。切り抜いた画用紙をもう1枚の画用紙に重ねると、切り抜いた部分だけもう1枚の画用紙の色が浮き上がっていろいろな形を表現できます。2枚の画用紙をのりで貼り合わて作品完成です。
 制作がスタートすると、一斉にハサミを使って制作を始めた年長組の子どもたち。手の動きに一切の迷いがありません。用紙を折って真ん中から切ったり、端のほうから切ったり、えんぴつで模様を描いてから切り抜いたり、さまざまな方法で制作を進めていき、あっという間にいろいろな形ができあがりました。「のりはどこに塗ったらいい?」。教師が質問すると、「紙の端っこから!」「画用紙が終わってるところから!」といろいろな答えが。「全面に塗らなくても画用紙の端っこだけ塗ったら早く貼れるよ」。様々なのりの塗り方がありますが、より早くそしてきれいに貼れる方法を教えてもらいました。
 作品作りに集中する姿はさすが年長組。より面白い形を表現するために、すこしずつハサミを入れる繊細な作業を重ねて完成させました。年長組はこれが幼稚園最後の造形活動となりました。一年生になっても同じように楽しみながら作品作りに取り組んでくれることでしょう。

説明を聞く姿、作品作りに取り組む姿はさすが年長さんです。しっかり集中して造形活動に取り組みました

たくさんの色の中から、好きな色の組み合わせで2枚の画用紙を選びます

一人一人が真剣に作品作りに向き合いました

思い描く形に仕上げるための繊細な作業を繰り返しました

色画用紙を2枚重ねると、きれいな形が浮かび上がってきました

先生にアドバイスをもらいながら完成に近づいていきます

最後は慎重に2枚の画用紙を貼り合わせたら完成です

年長組造形活動のねらい

絵画にしろ、彫刻にしろ、作品を通じた表現を試みた時に、みなさんはまず何をすることから始めるでしょうか? おそらく、仕上がりの最終イメージを頭に思い浮かべ、そのイメージに向けて描写を始めるのではないでしょうか。そして実際には、自分が思ったより小さかったり、大きかったりと何回トライしても中々イメージ通りのものを、たった一度の試みの中で生み出すというのは難しいものだなと実感してみたりもするはずです。これは私の制作現場で、私自身が日々抱えている現実でもあります。

さて、この日チャレンジしたかたち遊びは、下絵無しの色画用紙をいきなり「ハサミで切り抜く」ことで表現するという手法をとっています。これは、いざやってみると見ている以上に勇気の必要な行動でもあります。理由は冒頭で触れた様に「思う様に出来なかったらどうしよう?」と、一瞬誰もが思うはずだからです。

であれば、ここは肩の力をむしろ抜いて、まずは小さな穴を少し開けてみて、その穴と下に重ね敷いた別の色画用紙の見え方とのバランスをまず確かめてから、子ども達それぞれのアイディアが閃くかたちへと徐々に発展させてみるという流れを意識してもらえるように子ども達に提案をしてみました。そして、最終的にどんな形として、その姿を表すのかを楽しむという時間の中で、潜在的にはレイヤリング、カラーコーディネートなどの概念も、難しい話抜きでダイレクトな体験として子ども達に響き、そして自らの手によってその気づきを拾い上げてもらえる場となればと想いながら一緒に過ごさせて頂きました。

細胞分裂をしながら進化してきた生物の様にひとつの小さな穴から、さまざまな形へと変容していく様子は発見と驚き、時には思わず吹き出してしまう様な形との出会いの場にもなりました。
元気な心には、出来なかったらどうしようという気持ちよりも、たくさん、たくさん『でもやってみたい!』という気持ちで満ちています。そう、丁度この日の年長組の子ども達の様に。

(造形活動講師・高橋智力)

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