幼稚園生活

コラム「たいこばしくん通信」

 5月に入り、園庭の木々も次々に若葉が芽吹き、新緑の美しさに深呼吸をしたくなります。幼稚園では、春の運動会に向けて練習に励んでいました。そんなある日、子どもたちが「絶対勝ちたい!」と意気込んでいた玉入れの作戦会議が開かれました。そこで、「勝つにはどうしたら良いか?」を一生懸命考える子どもたち。「ご飯をたくさん食べる」「野菜も残さないで食べる」「それで筋肉をモリモリにする!」と力こぶを作って見せる子どもたちに思わずその場にいた教師で顔を見合わせてクスっと笑ってしまいました。話し合いは身体作りのことから、「たくさん持って投げる」「よく見て投げる」など実技の方へ。「入らなくてもまた拾って投げる」というお子さんの意見から、「入らなくても、もう止めるって言わない」「絶対諦めない!」と次々に発言が続きます。ある子の「ホンキをだす!」という言葉から、「ホンキをだすってどういうこと?」と教師が尋ねると、「ホンキをだすっていうのは、すごい力ってこと!」「そうそう!一番すごいってことだよね!」と。腕を目一杯に広げて、「これくらい!」と見せてくれる子。

 運動会では、速い・遅い、出来た・出来ない、よりも自分のもつ力を最大限に発揮して欲しい、その気持ちよさを感じ、その上で勝ち負けの面白さを味わって欲しいと願っていたので、子どもたちの「本気を出す」という言葉はとても嬉しく思いました。
 こうやりなさいと言われてやるのか、子どもが自ら考えて取り組むのか。同じ取り組みでも、そこには大きな差があります。これは運動会に限らず、日々の生活でも同じことが言えます。失敗をしないように大人が先回りして正解を示してあげることは簡単で、早いかもしれません。ですが、それでは子どもたちの折角の成長のチャンスを奪ってしまいかねません。大人に置き換えてみても、自分で考え、行動したときには、例えうまくいかなくても「やれる事はやったんだから、まあ、いいか」と納得できるような気がします。

 子どもたちが自分で考えて意見として発信し、互いの意見を聞きながら、自分たちの納得する答えを導き出してくれたことが、何より嬉しく、子どもたちを「頼もしい!」と感じました。話し合いの雰囲気からも、真剣に、そして手や頭、身体全部を総動員して考えてくれる子どもたちの真面目さ、誠実さに感動し、教師もこの姿を見習わなくては、と思いました。

皆で考えた作戦は、「たまいれのひみつ」として見られる所に貼り出し、練習前には「そうだった!」と思い出し、見て頷きながら練習に向かう子もいました。

 5月18日には、春の運動会が開催され、たくさんのお客様に子どもたちの頑張りを見ていただくことができました。無事過ごすことが出来たのも、ご協力いただいた多くの方々のおかげと感謝しています。

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