教育研究所ニュース

  • メイソン&ハムリン ピアノコンサート 5年振り開催

    2024.03.18

 2024年3月11日(月)、澤柳記念講堂ロビーにおいて「メイソン・アンド・ハムリン」のピアノを使用したコンサートを開催しました。学内関係者のみへの周知による開催でしたが、約100名の聴衆がその音色を楽しみました。

 メイソン・アンド・ハムリン社は日本ではなじみが薄いですが、アメリカでは著名な高級ピアノメーカーのひとつです。成城学園の所蔵する1台は、成城地区に1957年(昭和32年)に開設された東宝スタジオ録音センターが購入したもので、『ゴジラ』『座頭市』などの映画音楽で著名な作曲家の伊福部昭が、スタジオでの作曲や録音に使用したものです。当時の日本総代理店「小野ピアノ」が輸入した同社のコンサートグランドピアノで現在も演奏可能なものは、日本でこの1台のみとも推定されています。

 このピアノは2016年に、東宝スタジオから学園に寄贈されましたが、そのままでは演奏不可能な状態であり、また独自の構造を持つピアノのために修復にも困難が予想されました。これに対し、調律師でピアノ修復の専門家でもある名取孝浩氏(㈲ナトリピアノ社)のご協力をいただき、2018年に修復を完了、2019年3月に修復披露コンサートを開催しました。

 その後、コロナ禍の影響によりその音色を披露する機会に恵まれませんでしたが、今回5年ぶりにコンサートを開催することが叶いました。

 成城学園は1917年の創立時に「心情の教育」を教育理念の柱の一つに掲げ、100年以上にわたり音楽・芸術・情操教育を重視し実践を続けてきた伝統があります。今回は、その成城学園の音楽教育を第一線で支える初等学校・中学校高等学校の音楽科教諭陣が出演するとともに、学園の音楽文化に親しんで初等学校から高等学校までを卒業され現在新進気鋭のピアニストとしてご活躍中のOGである保戸塚優奈さんをゲストにお招きして、素晴らしい演奏が披露されました。


〔六手連弾〕
西谷鐘治 那須そうの 安川えりか
(成城学園初等学校教諭)

ひとりぼっちの晩餐会(『美女と野獣』)
チム・チム・チェリー(『メリー・ポピンズ』)
愛を感じて(『ライオン・キング』)

1台の鍵盤を3名で分担する奏法です。息の合った演奏で、おなじみのディズニーの楽曲3曲が披露されました。


〔四手連弾〕
牛山丈嗣(成城学園中学校高等学校教諭)
重見暁史(成城学園初等学校教諭)

ヨハネス・ブラームス 編曲
ハンガリー舞曲 第6番、第5番

オーケストラで知られる舞曲集ですが、元はピアノ連弾用のものでした。まず活気ある第6番・次に最もよく知られる第5番が披露されました。


〔2台ピアノ〕
安川えりか 牛山丈嗣

マヌエル・インファンテ 作曲
アンダルシア舞曲

メイソン&ハムリンと向かい合わせにヤマハのピアノを搬入し、2台のピアノによる迫力ある重奏が披露されました。


〔ピアノソロ〕
保戸塚優奈
成城学園初等学校、中学校高等学校卒業。
桐朋学園大学音楽学部・大学院修士課程を経てウィーン国立音楽大学大学院修士課程及びポストグラデュエート課程修了。現在、日本とウィーンを往復しつつ、精力的に活躍中。

フランツ・リスト 作曲
エステ荘の噴水
メフィスト・ワルツ

学園高校卒業生の保戸塚優奈さんによるソロが最後を飾りました。アンコール曲(シューベルト作曲 即興曲集 第2番 D 935 Op.142-2 変イ長調)も含め3曲の演奏が華やかに披露され、喝采のうちにコンサートは終演を迎えました。