幼稚園生活

コラム「たいこばしくん通信」

 みなさんは、相手の話の聞き方で、自分の気持ちが伝わらないと感じてがっかりしてしまったという経験がおありではないですか?また逆に、自分の話をしっかり聞いてもらえると、たとえ、話の内容が悲しいことだったとしても、自分の気持ちをうまく受け止めてもらえたと嬉しくなったり明るい気分になったりという経験があったりしませんか。

 それは子どもも一緒です。聞いて欲しい、共感して欲しいと思っています。話す相手が大好きなおうちの方となればその気持ちも更に大きくなるはずです。なのでおうちの方がどんな聞き方をするかはとても大事です。例えば、「携帯電話やテレビをみながら」話を聞くと、子どもは自分の話を聞いてもらえなかったと感じ、不安や寂しい気持ちになり、満足感を得られないままモヤモヤを抱えながら過ごしていることが意外とあります。そこで今回は私が子どもたちと話をするなかで感じたこと・気づいたことに基づいて、日々心掛けていることを少しお伝えすることができたらと思います。

 まず子どもがいろいろと話してくれる時、話す内容も大事ですが、それよりもどんな気持ちでいるのかに目をむけ、その気持ちに寄り添って聞くようにしています。「楽しい」のか「嬉しい」のか「悲しい」のか感情によって表情や声のトーンも当然違うので、小さなサインに気をつけるようにしています。と偉そうなことを言っても実際子どもの気持ちを全て理解することは難しく、「困った顔をしながら嬉しかった出来事を教えてくれる子」「表情を変えず淡々と悩み事を話してくれる子」中には「泣き真似をしながら笑顔で靴紐を結ぶ役者さん」に惑わされることもありますが、特に心掛けている事は手を止めて、子どもの顔をみながら話を聞き、笑顔でうなずいたり、相づちを打ったり、反応することです。これはあなたの話を聞いているという合図にもなります。こんなことは当たり前で、小さいことと思うかもしれません。でもこれが実はとても大切で、子どもは私たちが思っている以上に大人の顔や表情をみています。お話している最中に目の前にいる教師のわずかな髪型の変化に対し「先生前髪切ったの?どこで?自分で?」と気づいたことを口にしてくれて、更に話が弾みます。


子どもたちがどんな気持ちで話しているか、顔を見て話を聞き、その気持ちに寄り添うことが大事

 日々過ごす中でどうしても手が離せないことも当然あります。そんな時はしっかり断るのも大事なことだと私は思います。ただし、「あなたのお話を聞きたいけれど、今は○○があるから、○○が終わったらあなたのお話聞くからね」等と今は聞けない理由や、いつなら聞けるか、子どもが分かりやすいように伝えると納得してくれることが多いです。

 そして子どもの話にたっぷり共感したあとは、質問や疑問を投げかけて話を膨らませてあげます。「どうしてそう思ったの?」「なぜ?」たった一言で会話がぐっと広がります。また子どもが分からないことに対し、すぐに正しい答えを出そうと構えずに、「どうしてだろうね?」「なぜだと思う?」と一緒に考える時間も大切だと思います。大人と一緒に「どうしてだろう」「なぜだろう」と考える経験をすると、子どもは何か分からない事象に出会った時に、自分で考えることが自然にできるものです。

 少し意識するだけでも子どもにはちゃんと伝わります。
聞いてもらえていると感じることによって、話しやすくなったり、話すことが楽しくなってもっと話したくなると思うのです。
それからお話が終わった時には「教えてくれてありがとう」「お話できて嬉しかったよ」こんな言葉もかけています。

 最後に、自分が受け止めてもらって嬉しかったり満足感を得られた経験から、人にも同じことをしてあげれられるようになると私は思います。
だから私は、聞く力も話す力もどちらも大切なのよ。と子どもにいつも伝えています。

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