幼稚園生活

最近の出来事

 今年度7月から月1回のペースで取り入れた「お楽しみランチ」の試み。3月11日で8回目となりました。
 長年、「保護者の方の手作りのお弁当」を大事にしてきた成城幼稚園ですが、その基本的な考え方は変えずに「みんなで一緒に同じお弁当を食べることで得られる良さ」も取り入れたいと、この試みは、実は数年前から教員間で話し合ってきたことでした。
 保護者の方の手作りのお弁当にこだわってきたのは、お子さんが楽しんで食べられるよう、お子さんの嗜好を十分に知っていらっしゃる保護者の方がお子さんの好みにあった食材を使ってのお弁当作りができることや、「完食した」という満足感を一人一人が味わえるよう、各自にあった分量の調整ができることなどを考えてのこと。また「どんなお弁当にしたら喜んで食べてくれるかな」と親御さんが考えることが、「今日は何が入っているのかな」と嬉しそうにお弁当を開ける子ども達の笑顔に繋がっていく、そういう親子関係を大事にしたいと考えてきたからです。
 そういう親子の関係性も引き続き大事にしながら、と同時に「みんなで同じお弁当を食べる」ことの良さも取り入れることを検討したいと考えた理由の一つに、嫌いなおかず・食べず嫌いになっているおかずにチャレンジする・克服する機会を提供したいということがあります。これには「お友達が食べているから食べてみようという良い影響があり、とても助かっています」との保護者の方々からのフィードバックもいただけて嬉しく思っています。同世代からの影響力は、親や教師を遥かに超えた力があります。お母様お父様が一生懸命工夫をしても一口も食べなかった野菜を、みんなが食べているから口に入れてみた・・・などという展開になるのも、こういう機会では珍しくありません。それで、偏食が減り、子ども達の健康にプラスになるよう、そういう機会を提供したいというのが私たちの思いです。そして、それは毎日のお弁当でないので実現できることと考えています。
 更に、この試みには、毎日お弁当作りをしている保護者の方に「ひと休み」という気持ちのゆとりを提供したいという思いもあります。ご両親ともにお仕事を持っていらっしゃるご家庭はどんどん増えてきています。幼稚園としても、ただ以前のスタイルを踏襲しているだけというのではなく時代にあった感覚にアップデートしていくことが必要ではないかと考えたとき、全面的に給食とするのではなく、毎日お弁当作りをしているなかで、それから解放される日がある。子育てには、大人の側にゆとりがあることが大事と考えている立場から、ケータリングのお弁当の日を少し提供し、ささやかではありますが「ゆとり」を提供できたら、とも考えました。

 子ども達を健康に育てるために、食材にこだわり、アレルギー対応もしてくれる業者探しは、簡単ではありませんでした。またその基準をクリアしても子ども達が楽しめるお弁当でなければ意味がありません。教職員で試食を繰り返し・・・やっと見つけたお弁当。
 お店のコンセプトも、提供していただくお弁当作りへのこだわりも、子ども達への思いも、私たちも共感できる考え方でした。

 この機会に、お店からの直接の思いも伝えさせていただきます。

【カラダは食べたものでできている。食べものはいのちでできている。命はいのちに支えられている。】
当店のコンセプトの冒頭部分です。
お金を出せば、食べるものは買えます。でも、食べるものが買えるのは、その素材を作り、お店に運び、並べてくださる方達がいるからです。

畑に人参の種を蒔く時には、うっすらと土をかぶせます。風で飛ばされたり、土が乾いたりしてしまったら発芽しません。でも、土をたくさんかぶせると、これも絶対に発芽しないのです。
無事に芽が出たら、ある程度大きくなるまで見守り、間引きをして、強そうな株を残し、よき頃に収穫することができます。太陽と土と風と雨と月と星と、全てのエネルギーが人参になることに手を貸しています。
人は、早く収穫したい、沢山収穫したいと思うと肥料や農薬を使うことになります。けれども、肥料や農薬を使い続けると、土本来の力は失われていきます。微生物や虫が生きられず、肥料に頼れば、栄養分が過多になり虫がつき、農薬で殺すことになります。土はどんどん固くなり、肥料を入れなければ、次の種が育たなくなります。バランスの崩れた、農薬に汚染された土に雨がしみ込んで、川へ海へ流れていくのです。

『人間の最大の罪は不機嫌である』文豪ゲーテの言葉です。美味しいものを食べて不機嫌になる人はいません。美味しいは即幸せにつながるのです。体にいいものを食べることに神経質になって、眉間にしわを寄せるより、美味しいねと楽しみながら食べるジャンクフードの方が尊いなと思います。それでも、環境負荷の少ないものを選ぶ意識は大切です。食べものだけの話ではありません。オーガニックだ、無農薬だという前に、界面活性剤の入った合成洗剤を使わないこと。スクラブ入りの洗顔料、メラミンスポンジでの掃除も、マイクロプラスチックが流れ出るので極力控える。そういった暮らしの心がけなく、体にいいものを摂ろうとするのをわがまま食、身勝手食というそうです。環境破壊に気候変動、無関心でいても、無関係ではいられないのです。

子どもはそのまま未来です。お楽しみランチ、お約束の“塩むすび”は、米塩水で出来ています。肥料も農薬も使わない田んぼでじっくり時間をかけて作られたお米、(年少児の消化を考え、玄米ではなく、4分搗きにしています)低温の温風でゆっくりと乾燥させた“わじまの海塩”を使って握っています。輪島は元日の地震の被災地です。これから復旧にまだまだ時間がかかる見込みですが、ナトリウムとマグネシウムの比率が人の血液のバランスと似ていて、体に取り入れられやすいこのお塩を使い続けて応援し続けてまいります。おかずは可能な限り無農薬無肥料で育てられた、季節を感じられる素材を使うことにしています。初めて見る素材、食べたことのない味付けのものもあるかと思います。食べられても、食べられなくても、知識としてではなく、体験として様々な食材に触れる機会があることを大切にしたいと思っています。
月に一度のこととはいえ、いのちがギュッと詰まった食材を使って、次世代を担う子ども達にいのちのもととなるお食事を提供させていただくことは、とてもありがたく、この機会をいただけていることに心から感謝しております。

 いろんな思いを乗せて、子ども達が心身ともに健康に育っていくことをこれからも考え続けていきたいと思います。

3月11日の献立
おむすび
大豆ミートの唐揚げ
チヂミほうれん草のおひたし
カボチャのグリル
米粉のクッキー

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