一貫教育の取り組み / Topics

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英語一貫教育 2024年度についての報告

2025.07.19

 学園では第2世紀プランにおける教育改革3本柱の一つである「国際教育」の充実・強化を推進するため、幼稚園から高校までの英語一貫教育に取り組んでいます。2024年度の各校の主な取り組みと、目標とする英語力の達成状況を報告します。

<幼稚園>

 「日々の生活の中で英語に親しむこと」を方針として、ネイティブ講師が毎日日本人教員と一緒に保育に携わり、自然な形で英語に触れる環境づくりを行いました。年長・年中は週2 回、年少は週1 回の英語活動を行い、基本的な語彙やフレーズに繰り返し触れる時間を確保しました。さらに宿泊行事にも講師が同行し、生活場面での英語使用機会が増えました。また初等学校が校外活動期間の際には、初等学校のネイティブ講師が園児と交流する機会を持ちました。これらの経験を通じて、園児たちは「英語は特別なものではなく、日常の中にあるもの」と自然に感じ取れるようになっています。

<初等学校> 

 幼稚園での経験を土台に、初等学校では「英語を学び、使う」段階への発展を目指しています。低学年では歌やチャンツを通じた音声中心の活動を、中・高学年では読解、語彙学習を組み合わせ、実践的な英語力の育成を図りました。2024 年度は4年生の英検5 級以上取得率が88.9%(前年72.2%)と大きく向上しました。Reading スコアの上昇が顕著で、英検学習用のプリントによる家庭学習が効果的だったと考えています。一方、6 年生の4 級以上取得率は77.8%と前年度並みでしたが、リスニング指導には一定の成果が見られました。今後は読解力強化に重点を置き、宿題への読解問題の導入や語彙習得の定着に注力します。記憶定着アプリ「モノグサ」による単語学習では、アプリの記憶度と英検スコアの間に正の相関が見られ今後も継続して活用する予定です。長期休暇中には英語絵本アプリ「epic!」を配信し、休み明けにテストを行うことで学習の成果を確認しました。また、実践の場としてオーストラリアでのホームステイや、台湾・ビクトリアアカデミーとの交流を実施しました。児童たちは日本文化を英語で紹介する活動に取り組み、異文化理解と英語運用の両面での成長が見られました。

<中学校> 

 中学校では、「英語で考え、伝え合う力」を軸とし、世界を視野に入れた学びを進めました。洋書テキストを用いた授業では、国際的な課題や世界の若者の活躍などを題材に思考力の育成を図りました。GCP(Global Competence Program)では、自己理解と協働的な探究を通じて自分の意見を英語で発信する力を養いました。生徒は、英語は「使うための言語」であるという認識を深めています。英検への取り組みとしては、単語テストやライティング・スピーキング形式の演習を授業に取り入れました。放課後には週2 ~ 3 回、ネイティブ講師による英語活動を実施しました。参加者数が少ないのが課題ですが、英語に対する意欲を育てる機会として継続していきます。2024 年度は2 年生の英検3 級以上取得率が68.1%(前年83.0%)、3年生の準2 級以上取得率が53.2%(前年53.1%)と、課題が残りました。特に語彙とリスニング力の不足が明らかになり、教科書以外の語彙指導や、より精緻なリスニング対応力の育成が必要と考えています。今後はICT の活用も検討して、弱点分野が改善するよう指導を継続します。

<高等学校>

 高等学校では最近の数年間で教材の更新や教員間の連携体制を強化し、英語一貫教育のゴール段階として設定した目標の達成に向け取り組んでいます。高1 のGCP では昨年度よりテキストレベルを上げてより思考を深める内容に挑戦しました。高2・高3 のネイティブ講師による授業では、生徒の表現力や論理性が向上し複雑なテーマについても自分の意見を伝えられるようになっています。e-learning 教材は「モノグサ」と「スタディサプリ」から「ELST」に一本化し、発音・語彙・リスニング・多読・ライティングといった各技能を総合的に学べる環境を整えました。AI 採点機能を使って生徒が自らの弱点を把握し、改善につなげる学習習慣も形成されつつあります。英検対策としては、2 級・準1 級向けの講習を夏冬に実施し、定期試験でも英検形式の問題を取り入れました。2 年生の英検2 級以上取得率は51.6%(前年56.5%)と減少しましたが、コロナ禍で中学生活を始め、体系的な英語学習が始まる当初にハンデを背負った学年としては健闘したと考えます。今後、新たな教材や指導法の改善が成果として表れるよう引き続き努力してまいります。

目標達成状況
学年 目標 2024年度 2023年度
初等学校4年 英検5級(中学初級程度) 88.9% 72.2%
初等学校6年 英検4級(中学中級程度) 77.8% 76.7%
中学校2年 英検3級(中学卒業程度) 68.1% 83.0%
中学校3年 英検準2級(高校中級程度) 53.2% 53.1%
高等学校2年 英検2級(高校卒業程度) 51.6% 56.5%

(注)%は、各学年在籍児童・生徒全数に対しての目標級以上取得者となっています。