初等学校だより

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  • 2020.02.26

    【授業訪問】3年松組 数学の授業 —二等辺三角形、できる?できない?—

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 成城学園初等学校では、計算などの技能的なものだけではなく、数学的な考え方を身につけることも重視し、『算数』ではなく『数学』と呼んでいます。独自の教材「児童数学」を使い、関連する領域をまとめて学習するなど、子どもたちの理解を深める工夫をしています。今回は、図形を勉強している3年松組の授業におじゃましてきました。

 この日の問題は「20cmの紙を2回折って二等辺三角形を作ります。どんな大きさになりますか」というもの。最初に先生が、実際に20㎝の紙を折って見せてくれたので、子どもたちはすぐにイメージをつかむことができました。すると、ここからは子どもたちの発言が止まりません。「たくさんの種類ができそうだよ!」という気づきから、8㎝・8㎝・2㎝、6㎝・6㎝・8㎝など、さまざまな辺の長さの二等辺三角形を思いつき、書き出していきます。2つの長さが同じで、すべての辺の長さを足すと20cmになる組み合わせをすべて書き出してみると、今度は、子どもたちから「1cm・1cm・18cmとか、三角形にならないものもあるんじゃない?」という気づきが出てきました。それに対し、「なんで三角形にならないってわかるのかがわからない」という子も。その疑問に対しては、わかる子が代わる代わる前に出て、一生懸命説明し、疑問を解消していました。また、5cm・5cm・10cmの辺の組み合わせでは、三角形にはならないという意見に対し、「ギリギリ三角形になるのでは?」という意見も。これに対しても、三角形にはならない派の子どもたちが説明すると、「友達の説明を聞いて考えが変わった。三角形にはならないんだね。」と納得する姿がありました。
 先生は答えを言いません。授業中にわからないことがあった時に、「わからない」とはっきり言うことができる雰囲気があり、そして、わかる子どもたちが、「こういうことだと思う!」「それに補足するとこうだよ」と次々に説明をして、互いに理解を深めていきます。
 アクティブラーニングという言葉が流行り、グループワークやディベートで能動的学ぶ姿勢を身に付けましょうなどと言われていますが、松組の数学の授業では日常的に子どもたちが学び合っていて、これこそがアクティブラーニングという活気あふれる授業でした。

(文責:企画広報部)

授業のポイント!

これまで実際に手を動かして三角形をつくったり描いたりして、三角形の特性をつかんだ上で、三角形はどうしたらできるのかということについて考えていきました。私は授業の中で、絶対に答えを言いません。子どもたち同士で疑問を解決していきます。今日も、「周りの長さが20cmの二等辺三角形はたくさんの種類がある!」と予想したり、「辺の長さによって三角形ができないとわかるのはなぜ?」という問いが出たり、子どもたちが「分からない」を主張し、共有して、自分たちで納得解決していく授業でした。(授業者・小宮山)

  • まずは問題の意味をきちんと理解するために、20㎝の紙を折って見せてくれました
    まずは問題の意味をきちんと理解するために、20㎝の紙を折って見せてくれました

  • 二等辺三角形ってどういう形だっけ?子どもたちがいろんな方法で説明
    二等辺三角形ってどういう形だっけ?子どもたちがいろんな方法で説明

  • 先生の問いかけに、「はい!はい!」と上がるたくさんの手
    先生の問いかけに、「はい!はい!」と上がるたくさんの手

  • 授業の主体は子どもたち。意見の違う子に伝わるようにと、一生懸命
    授業の主体は子どもたち。意見の違う子に伝わるようにと、一生懸命

  • 周りの子とも話し合い、友達の説明を聞いて理解を深め
    周りの子とも話し合い、友達の説明を聞いて理解を深め

  • たくさんの気づきや意見、疑問が出て黒板は子どもたちの発言でいっぱい!
    たくさんの気づきや意見、疑問が出て黒板は子どもたちの発言でいっぱい!

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