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Teacher's VOICE - Vol.2

「初等学校の教育は過保護ではありません。だから都会の野生児がいっぱいいます。」初等学校教諭 加藤陸雄
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創立以来の実験教育の伝統が成城学園初等学校には息づいています。
全国でも他に例を見ないといわれる劇の授業は、その一例と言えます。
そんなユニークな初等学校の教育について、加藤陸雄教諭に話を聞きました。

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全国でも珍しい初等学校の「劇」の授業はどのような内容ですか?

-劇の授業は毎週一回あります。「劇の本」という教科書を使った授業と、学期ごとに開催される発表会の準備のための授業の二通りがあります。「劇の本」には劇に関するゲームや、表現活動のさまざまなパターンなどが載っています。その中に即興劇という項目があり、たとえば「壊れた茶碗」や「魔法の靴」などのテーマが羅列されています。発表会で上演するテーマはそこから教師が選び、グループに分かれた生徒たちに、その場でストーリーを考えさせます。発表会で上演するテーマはそこから教師が選び、グループに分かれた生徒たちに、その場でストーリーを考えさせます。

劇の授業の一番の狙いはどこにありますか?

劇の授業の一番の目的はコミュニケーション力を養うこと。この授業では、決められた時間内にアイデアを出し合い、結論を出すことが求められます。気に入らないストーリーにも、自分が代案を出しグループの中で採用されない限り、そのアイデアに従わざるを得ません。このような仕組みを持つ劇の授業は、自分を知り他人を知るとてもいい機会になっています。ふだんはあまり目立たない生徒のアイデアが採用されることもあり、劇の授業でしかわからない人間関係が見えてくるのです。こうした活動によってコミュニケーション力が鍛えられるだけでなく、生徒それぞれの個性も育っていると思います。

加藤先生は和太鼓も教えているそうですが?

-私は大学時代に演劇と和太鼓に出会いました。それが今、こうして授業に役立っています。和太鼓は二年生全員に教えていますが、その成果は毎年、文化祭で披露しています。初等学校には、私のように和太鼓や演劇の好きな教師もいれば、アウトドアが好きな教師もいます。それぞれの得意分野を授業に活かしていますからクラスごとにやることが違います。初等学校の教師はみな個性的です。そうでなければ、成城学園の教育理念の一つである「個性尊重の教育」を指導することはできないでしょうね。

初等学校には職員室がないそうですがどのような理由からですか?

生徒のそばにいつも教師がいるべきという考えからです。また初等学校の教師は、友だちのような関係、生徒と同じ目線でいることを大切にしています。そこから生徒たちが気軽に相談でき悩みを打ち明けられる雰囲気が生まれます。音楽や体育の時間が終わると、生徒たちは「ただいま!」と言って教室に帰ってきます。生徒たちにとって教室はもう一つの“家(うち)”なのです。しかも三年生から四年間、同じクラスですから、生徒との絆は非常に強くなります。

加藤先生の考える初等学校の教育とは、どのようなものですか?

小学生は、種だと思います。教師の役割はその種に水をあげて芽を出そうとする力を応援すること。芽を出そうとしているときに、小石が邪魔をしていれば、それを取り除いてあげます。今、子どもたちは水をもらい過ぎる過保護の傾向にあることが気がかりです。水のやり過ぎは種を腐らせます。成城の初等学校の教育はあえて過保護とは逆の方向に向いています。「ここまでたどり着いたら手を貸してあげるよ。そこまでは自分で来なさい」という教育です。転んでも手を貸しません。自分で起き上がったとき、教師がそこで絆創膏を持って待っている、そんなイメージですね。
ですからこの学校には“都会の野生児”がいっぱいいます。

2009年12月10日