【教育四綱領】(私立成城小学校創設趣意 [1917(大正6)年])
成城学園の創立者・澤柳政太郎が、成城学園の前身である成城小学校創立時に掲げた希望理想
(前文)
我が国の小学教育が明治維新後、半世紀間に為した進歩は実に嘆賞に値しますが、同時に又、此の五十年の歳月に由つて今や因襲固定の殻が出来、教育者は頑瑣な形式に囚われかけました。外観の完備に近い程の進歩の裏には動もすれば、教育の根本精神を遺れて形式化せんとする弊害を醸しつつあるやうに思はれます。我が教育界には今や所謂、物極まって変じ、変じて通ずべき時節が到来したのではありますまいか。されば今こそは此の固まりかけた形式の殻を打砕いて教育の生き生きした精神から児童を教養すべき時であらうと思ひます。実に我が国現今の教育は単に小学校教育のみならず、あらゆる方面に亙って種々の意味に於て革新を要望されています。我が成城小学校は此の気運に乗じ、此の要望に応じ、微力を揣らずに玆に教育上の新しき努力を試みんがために生れんとするのであります。
本校は今、将に生れんとするもの故、其の特色の如何は他日を待たねば明言できません。又一定の主義の如きも未だ標榜すべき時ではありません。本校は内外各種の学校の長所を見逃さず採用すると同時に校長主事訓導の創意工夫を加えつつ改善して行く内に自然に或種の特色が現はれやうと思ひます。只玆に明言し得る事は我校の希望理想と云うが如きものであります。








