教育研究所ニュース

  • 映画音楽を彩ったピアノが蘇る メイソン&ハムリン修復披露コンサート

    2019.03.13

2019年3月7日(木)、澤柳記念講堂ロビーにてメイソン・アンド・ハムリンのピアノ修復コンサートを開催しました。学園関係者のみへの周知にも関わらず120人が集い、皆がその音色に聞き惚れました。

このピアノは、東宝スタジオ録音センター(現ポスト・プロダクション・センターII)で、映画音楽に長年使用されてきたものです。1957(昭和32)年の同センター開設直後、作曲家の伊福部昭が指定して東宝が購入したそうです。メイソン・アンド・ハムリンはニューヨーク・スタインウェイに次ぐアメリカの名器と呼ばれ、日本には数台しか存在しないと言われる貴重なピアノです。

伊福部昭といえば『ゴジラ』を始めとする映画音楽の作曲家。数多くの東宝映画の音楽録音で自らこのピアノを弾いたそうです。また、黒澤明や岡本喜八監督作品の音楽を作曲した佐藤勝なども、このピアノをよく使ったといいます。
伊福部昭が愛用し、日本映画史を音で彩った貴重なピアノが、東宝スタジオから成城学園に寄贈されたのが2016年。そのままでは演奏不可能な状態だったため、地元の老舗カフェの店主に紹介してもらい、ピアノ修復の専門家である名取孝浩氏(調律師、ナトリピアノ社代表)に修復作業をお願いしました。
2018年9月に修復が終わり、今回のお披露目の日を迎えることができました。

最初に、コンサートを主催した成城学園教育研究所の宮崎所長による寄贈の経緯の説明、名取氏からメイソン・アンド・ハムリンのピアノについて解説があり、いよいよ開演。
演奏は教職員、卒業生などを中心に、ピアノソロ、独唱、コーラス、二重奏など様々な形で文字通り「音を楽しむ」音楽会となりました。


シャトーヴェール(教職員コーラス)
指揮:松永知子/ピアノ:武石玲子

「春よ、来い」(二部合唱)
「花の名前」(混声三部合唱)

「花の名前」は、成城学園創立100周年記念歌として、卒業生の森山直太朗・御徒町凧が作詞・作曲した曲。


貞光裕美子(ピアノ、卒業生)&氏家千佳(ヴァイオリン)

クライスラー「愛のよろこび」
マスカーニ「カヴァレリア・ルスティカーナ」より間奏曲
ピアソラ「リベルタンゴ」

途中、伊福部昭に敬意を表して「ゴジラのテーマ」もアドリブで演奏。


重見美穂(ソプラノ)&重見暁史(ピアノ、初等学校教諭)

小林秀雄 演奏会用アリア「すてきな春に」
ドヴォルザーク 歌劇「ルサルカ」より 月に寄せる歌

普段は初等学校で子どもたちに音楽を教える重見暁史先生。歌は奥様。息ぴったりの演奏。


牛山丈嗣(テノール、中学校高等学校教諭)&堤瑶子(ピアノ、中学校高等学校教諭)

「泊り船」、「お六娘」、A.ララ「グラナダ」

民謡風の和テイストと高校音楽科の牛山先生のテノールがマッチして新鮮。伴奏は中学校音楽科の堤先生。


武石玲子(ピアノ、卒業生)

グリーグ 組曲「ホルベアの時代より」op.40より 1.プレリュード、2.サラバンド、3.リゴードン
ショパン プレリュードop.28-15「雨だれ」
ショパン エチュードop.25-1「エオリアンハープ」
ラフマニノフ 幻想的ピアノ小品集 プレリュードop.3-2「鐘」

メイソン・アンド・ハムリンの魅力をたっぷり聴かせていただきました。


  • ピアノ修復の恩人。名取氏


  • とても盛況な音楽会となりました。