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  • 2017.07.11

    博学深究 23 努力すればするほど人の為になる

    博学深究 佐藤卓

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 来年度から始まる英語教育改革の本格導入に先駆け、今年度から中1と高1全生徒にタブレットを配付し、家庭学習をスタートさせました。これは、理事長・学園長・各校校長と英語科教員がプロジェクトを組み、外部コンサルティングも加え、中学3年生で日常会話、高校卒業時には、英語で議論や討論を可能にさせようとする目標があります。元々、航空管制官、商社、外交官等で、直ぐに完璧なリスニングとスピーキングが要求される職場で使われている教材を日本で初めて中高生に利用するという画期的なプログラムになります。英語の聞き取りができない私としては、外国の方と話をする時、わざとたどたどしく話して、ゆっくりと話してもらうようアピールをしてきたのですが、是非、生徒達にはネイティブと対等に話せるようになってもらいたいと思います。
 さて、今回のゲストは、全日本ユースライフセービング大会で、全国優勝を果たしたキャプテンと副キャプテンに来てもらい、大会の感想などを聞いてみました。

博学深究 21

全日本ユースライフセービング選手権大会高校の部、総合優勝おめでとう!
二人) 有難うございます。
それでは、まず、率直な感想を聞かせて下さい。
I) 代替わりをして、新チームになり、ユース大会の総合優勝を目指して頑張ってきました。それが達成出来て、本当にうれしいです。
K) 私たちの1番大きな目標にしてきて、それをチーム全員で獲れてうれしいです。
内容的には、どうでしたか?
I) とても接戦でした。昨年度まで三連覇している西浜ライフセービング・クラブや他の高校チームも実力をつけてきているので、誰か一人がダメだったら優勝は無かったという感じです。
大接戦だったという訳だね。今、部員数は何人ぐらいで、日頃どんな活動をしているのですか?
I) 現在、部員は51名で、学内での活動は、BLS(心肺蘇生・AEDの基礎技能)を運動部所属の部員に教えたり、学外では、近隣の小学校や中学校に「水辺の安全」について普及活動を行っています。
どうしてライフセービングを始めたのですか?
I) 自分の一番大きな理由は、中学の担任で、水泳部の顧問であったM先生の影響です。ライフセービングの魅力を徹底的に教えてもらいました。
K) 私も水泳部に所属し、中学校の海の学校を通じてライフセービングを知りました。ライフというのは、他者を倒すための競技スポーツと違い、他者を助けるためのスポーツであるという点に興味を持ちました。
なるほど。それでは、ライフセービングの魅力とは、何ですか?
I) ん~、難しいなあ。(少し考えて)「自分が努力すればするほど、人の為になる」ということだと思います。実際に人を助ける場に出会ったことはありませんが、いつかは、自分という存在が、人を救う道に繋がればよいなあと思います。
深いね。
K) ライフセービングというとビーチフラグッスのような競技面だけがクローズアップされてしまいますが、実際には、応急処置のテクニックとか自分の知っている知識や経験が生かされ、何より自然が相手なので、他のスポーツとは全く違います。
I君は、人を助けた経験はないと言ったけど、実際に目の前に倒れている人がいたら怖いという思いの方が強くなるのでは、ないですか?
I) 高1までは怖い思いがありましたが、この3年間を通じて努力してきた成果として、今ならその場にいて、対応することが出来ると思います。
K) 私も誰かが倒れていたら助けられる自信はありませんが、その場で行動できる自信はあります。
これまで、地道に努力してきた成果が、自信に繋がるということだね。それでは、最後に将来の夢を聞かせて下さい。
I) 僕は、小学校の先生になりたいと思っています。子供が好きということもありますが、子供の死亡事故の多くが、知識不足が原因であることが多いので、それを内部からBLS活動を通じて防いで行きたいと思います。
K) まだ、具体的なことは決まっていませんが、私は何らかの形でライフに関わって行きたいと思っています。BLSは、未経験者の方とっては、まだまだハードルが高く、もっと誰にでもできる身近なテクニックとして普及させ、人の命に関わる仕事に就きたいと思っています。
今日は、試験前の大切な時に時間を作ってくれて有難う。いよいよ夏本番、ライフのシーズンになりますが、勉強もライフ活動も頑張って下さい。

 これから夏休み入りますが、依然として日本全国で水辺の事故が無くなりません。そういった意味で、彼らの「いのちを守り合う成城ファミリー」といった地道な活動は、徐々にではありますが、広がりを見せているようです。統計によると水の事故で命を亡くすケースは、意外と自宅の浴室が1番多いそうです。そういった意味で、全校生徒が家族や仲間を守れる知識や技術を持っているというのは、心強い限りです。